要介護の認定は運次第!認定率の「高い自治体」「低い自治体」の歴然たる格差
● 全国画一的なルールのはずだが 運用面では役所の裁量が大 筆者は現場で介護に従事していた経験から、要介護の認定結果は、一部「運」次第とも認識している。いくら全国画一的なルールの下で判定されるとはいえ、人間の状態を段階的に識別することは難しい。 多くのケアマネジャーからも調査員によって差が生じていると耳にする。既述のように地域によってもかなりの格差があり、ある地域では要介護1と判定されるが、同じ状態でありながら別の地域では要支援2と判断されることも珍しくない。特に、軽度者になるほど要介護認定システムの信憑性に問題が生じているといえる。 実際、市町村をまたいで業務に従事しているケアマネジャーによれば、各市町村長の裁量によって結果が異なり、厳しく判定されたり、甘く認定されるなど地域間格差は否めないと聞く。 あるケアマネジャーによれば、担当していた高齢者が、当初、要介護2と判定されたものの、心身の状況から家族や本人がどうしても納得がいかず、状態が悪化したとして、再度、「区分変更申請」をすることとなり、その結果、要介護3になったという。
本来、認定結果に納得がいかなければ、「不服申し立て」という制度があるが、それには煩雑な事務手続きがあり手間がかかるため、急に状態が変化したとして「区分変更申請」という仕組みを活用して、再度、認定してもらうケースも珍しくない。 ● 認定時に張り切ってしまい 軽く判定されてしまうことも 要介護認定申請において「母(おばあさん)が、調査員の人になんでも『できる!』と言って、軽く判定されてしまった」なんて話を、雑誌やテレビ番組で見聞したことはないだろうか。 「普段は、物忘れがひどいのに、調査時には、しっかりと言える。起き上がりも頑張ってしまって、本来なら要介護3ぐらいなのに、要介護1と判定され保険が効くサービス量が減ってしまった」と、嘆く娘など……。 そのため、普段の状態が的確に認定結果に反映されるためには、調査の際にできる限り家族が同席するべきであろう。家族が遠方に住んでいる場合でも、調査日には時間をとって調査員の方に日ごろの実態を述べるべきだ。