橋下氏の今後、国政への影響……大阪ダブル選の結果は何を意味するか
大阪府知事と大阪市長のダブル選は、投票終了直後に「当確」が報じられるという地域政党「大阪維新の会」2氏の圧勝でした。12月の市長任期が終わった後は政界引退を明言している大阪維新の橋下徹代表ですが、10月に国政政党の「おおさか維新の会」を立ち上げています。今回の選挙結果は何を意味するのか。今後の「維新」や野党再編・協力、安倍自民1強体制などにどのような影響を与えるのか。政治学が専門の東京大学教授、内山融氏に寄稿してもらいました。
大阪維新はなぜ圧勝したのか
22日に投開票された大阪府知事・大阪市長のダブル選は、知事選では現職の松井一郎氏、市長選では吉村洋文氏が当選し、両方とも大阪維新の会の勝利に終わった。
維新の勝因は、一つには、これまでさまざまな改革を進めてきた同党の姿勢が評価されたことであろうが、それ以上に重要なのは、橋下徹氏の個人的人気が大きかったこと、特に、同氏が政界引退を表明しながらも今後また何かやってくれそうだ、という期待が県民・市民に強かったことであろう。 このように維新の勝利が主に橋下氏への支持によるものだったことを考えると、大阪の政治における橋下氏の影響力は、陰に陽に続くと思われる。かつて小泉純一郎首相は、2006年の総裁任期満了時に退任することをあらかじめ宣言し、実際そのとおりに退任したが、その後もことあるごとに小泉待望論が持ち上がった。橋下氏についても同様のことが起こるのではないだろうか。ただし、小泉氏の場合はその「散り際の潔さ」が印象深かったため人気も根強かったが、もし橋下氏があいまいで日和見的な態度をとり続けることになると、 人々に飽きられてしまうおそれもあろう。 大阪維新の会は「大阪都構想」に再挑戦することを表明している。この構想は、5月に大阪市で行われた住民投票で反対多数によりいったんつぶれたものである。今回の選挙結果は住民投票の結果と矛盾するように見えるが、これは、自民党側の主導により設けられた大阪戦略調整会議がうまく進んでいないために、有権者の期待が再び維新の側に振れたことを示すといえよう。大阪都構想が再び動き出す中、府市両議会で少数与党である維新がどのようにハンドリングしていくかが問われる。