【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第9ステージ】ナポリにはサスペンスがよく似合う。休息日前夜の荒れたフィニッシュで、コーイが初出場1勝目。「即興的に動いた。ちょっとしたギャンブルでもあった」
そのマリア・チクラミーノを、コーイがフィニッシュライン手前で抜き去った。ベテランのロベルト・ヘーシンクが2日目の朝に、発射台のクリストフ・ラポルトは前日8日目に大会を離れ、そもそも完全なチーム列車など期待していなかった。
「即興的に動かなきゃならなかった。特にラスト1kmは、普段ならクリストフが僕を確実に好ポジションへと導いてくれるけれど、今日はとにかく一つの計画だけに固執してはならなかった。レースがどう動くかを見定め、良いポジションに行くために何が必要なのかを考え続けた。ちょっとしたギャンブルでもあった」(コーイ)
ひどいカオスの中で、コーイは冷静に、ユアンからミランの後輪を静かにさらい取る。その後は巨体の背後に潜み、じっとタイミングを伺った。風の中に飛び出したのは、ようやくラスト75mに迫ってから。最後は思いっきりハンドルを投げた。生まれて初めてのグランツール9日目で、ついに勝利カウンターを解除した。昨季は3大ツールを完全制圧したヴィスマ――本来ジロ出場を予定していながら、ワウト・ファンアールトは3月末の落車負傷で出場を断念し、4月上旬のひどい落車後、ようやく数日前から練習を再開したものの、ヨナス・ヴィンゲゴーの今後の見通しはいまだ不透明――にとっても、待望の今季グランツール区間1勝目だった。
「願わくばこの先まだまだ何年も高いレベルで戦い続けて、素敵なレースを勝っていきたい。僕が『ベスト』になれるスピードを有していることはすでに証明してきたと思っているし、今や僕は最大のレースで勝利を収めた。だから自信がある。良い位置につけ、すべてが上手く運べば、これからも僕は勝てる」(コーイ)
マリア・ローザの献身を受けたモラノは、区間3位で終え、ポガチャルは満足げな笑顔で、大暴れの大会第1週を締めくくった。ひどくナーバスだった1日の終わりに、総合トップ10には一切変動がなかった。つまりポガチャルは総合2位以下に対して2分40秒という巨大なタイム差を保ったまま、待ちに待った1回目の休息日を迎える。
「とにかく明日は最高の休息日にしたい。今日のような良いお天気なら、きっと最高だよ。みんなでイージーライドにでかけるつもり。カフェに立ち寄って美味しいコーヒーを飲んだり、ナポリは初めてだから、きれいな景色を楽しんだりしたい。全力で走るのはナシ!」(ポガチャル) 文:宮本あさか
宮本 あさか
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