動けない部下や子どもが自走するための接し方 知らぬ間にチャレンジ精神を奪ってしまっている
ここまで読んで、「できていることを指摘するだけだとミスについて注意できず、上長としての役割を放棄しているようなものなのでは?」と疑問に思った方もいることでしょう。 「ミスを指摘しないでください」と言っているわけではありません。指摘する「順番」を意識してくださいということです。つまり、「できていること」を指摘したあとに、「できていないこと」、つまり課題について指摘すればいいわけです。 こうすることで、部下は上司の指摘をすんなり受け入れ、「次からは、同じミスをしないように工夫しよう」と、失敗しないための対策を自ら考え始めます。
ミスをした部下にしても、テストの点数が低かった子どもにしても、自分の「できていないこと」に関しては、人から言われなくても痛いほどよくわかっています。むしろ、「悔しい、情けない」、あるいは「こんなことなら挑戦しなければよかった」と後悔していることもあります。 誰でも、失敗にとらわれてしまうと、「できていること」が見えなくなってしまいます。否定からは否定しか生まれません。そういうときこそ、上司、先輩、親の出番です。
相手が、10点満点中、3点しかとれていなかったとしても、いきなり「足りない7点」について責めるのではなく、まずは、「できている3点」に目を向け、認めることからスタートしてください。これが、相手の行動力を上げることにつながるのです。 ■「結果目標」を「行動目標」に変える 自信がないからなかなか行動できない……。とくに経験が浅い段階だと、誰でもこういう傾向があります。しかし、行動しない限り「成功体験」を得ることはできません。こんな状態が続くと、永遠に自信がつかないわけです。
実は、これを打破するためのいい方法があります。それは、「結果目標」を「行動目標」に変えることです。 多くの場合、職場や学校では「数値目標」を与えられます。「今月の売上目標〇〇万円」「企画を××本通す」「資格を取得する」「テストで80点以上をとる」「新人戦でベスト8」など……。 こういった結果を重視した目標のことを「結果目標」と呼びます。結果目標には、マンネリ化を防ぎ、緊張感を保つことで目標実現の可能性を高めるメリットがあります。仕事や勉強、部活の試合などで思うような結果が出ているときは、結果目標を意識することで、よりよい成績をあげられる可能性が高くなります。