「日本人のリスク管理、アジア最下位レベルでは」 米国の制度導入、経営リスク管理のプロ「保険仲立人」として活躍する四国の企業
◆日本人のリスク管理は、アジアで底辺
――リスク管理と企業の発展・成長について、考えを聞かせてください。 たとえば、弊社の顧客の仕入れ先が操業停止になり、大きなダメージを受けたという事例がありました。 新型コロナウイルス感染症流行のような、大規模なリスクが発生した際には、供給チェーンの妨げや生産停止などの影響が広がり、企業は重要な部品や資材の調達が困難となって業績が悪化します。 事前にリスク管理を行っていれば、適切な対策を講じることが可能となり、企業の持続可能な成長を支援することにつながります。 現代のグローバル化したビジネス環境では、企業規模にかかわらず、中小零細企業でもリスク管理の必要性は高まっています。 ――グローバル社会のなかで、日本の経営者のリスク管理に対する意識についてはいかが でしょうか? 経営者に限らず、日本人のリスク管理に対する意識は、アジアにおいて最下位に近いくらいではないかと思っています。 それくらい、ものすごく低い。 たとえば、インドネシアやマレーシアなどでは川の近くや海辺に工場を建てることは避けられています。 津波のリスクが高く、保険会社が契約すらしてくれないからです。 だから、工場は内陸部などに建てられます。 しかし、日本では、台風が来ても通り過ぎ去れば一安心、といったような文化が根付いていると感じます。 この日本人のリスクマネジメントへの意識を変えることは、私たちの大きなミッションです。 ――日本総険における「保険仲立人」の意義を教えてください。 保険仲立人とは消費者と保険会社の間を埋める存在です。 消費者が持っている情報やニーズがあまりにも保険会社に届いていない。 あるいは保険会社が持っている情報が消費者に知らされず、フェアな状況になっていない。 消費者のために保険仲立人としてその間を埋めていく。 それが弊社の立脚の精神にもなっています。
■プロフィール
株式会社日本総険 1996 年4 月施行の保険業法の改正で日本に保険仲立制度が生まれたのを機に、大蔵省の登録・認可を受けて同年に創業。「技術でリスクを管理する」というコンセプトのもと独自に研究開発を行ない、クライアント企業の事業態リスクに合わせた保険調達を可能とするIBA(INSURANCE BROKING&AGENCY)COVER を商品として販売。2023 年、保険仲立人として日本で初めてTOKYO PRO Market に上場した。