「日本人のリスク管理、アジア最下位レベルでは」 米国の制度導入、経営リスク管理のプロ「保険仲立人」として活躍する四国の企業
「保険仲立人」とは顧客と保険会社の間を取り持ち、双方にとってフェアで有意義な契約をサポートする存在です。四国にある「日本総険」(本社・高松市)は、1996 年に創業し、保険仲立人に関するアメリカの制度を日本に導入して、リスク管理面で企業経営をサポートしています。「アジア最下位レベルでは」と指摘される日本企業のリスク管理について、葛石晋三専務に話を聞きました。 【動画】なぜ事業承継が大切なのか専門家に聞いた。
◆リスク管理は、企業経営の成長と発展に不可欠
――日本総険の事業について教えてください。 日本総険の創業者は、私の父、葛石智です。 父は50 歳で、保険仲立人制度が施行された1996 年に創業しました。 もともと、祖父は製材所を経営していました。 山から木を切り出し、加工して出荷するビジネスでしたが、当時の安全基準は低く、従業員がけがをしても満足のいく補償ができずに祖父は苦労したそうです。 そこで祖父は、従業員や家族の安心を守るために保険代理店を始めたと聞いています。 当時からリスク管理に対する意識が強かったのだと思っています。 ――祖父の保険代理店が、日本総険創設につながった経緯を教えてください 父は大学を卒業後、祖父の保険代理店に入りました。 1970 年代、大卒で機械工学部を出て保険代理店をすることはとても珍しかったそうです。 大正海上火災保険(現・三井住友海上火災保険)の研修生制度で保険の勉強をする中で、アメリカに「インシュランス・ブローカー」と呼ばれる保険仲立人の制度があり、保険のマーケットを作っていることを知りました。 父は、日本で同様の制度導入の流れを感じ、20代のころから保険仲立人制度についての情報を集めていたそうです。 保険仲立人制度は、もともと日本にはありませんでした。 しかし、日本の金融市場開放の流れで、大蔵省や保険会社が保険仲立人制度の日本導入を方向付け、1996 年、保険業法改正によって保険仲立人制度が施行されると同時に「日本総険」が創業しました。