日本生命、米系生保を約1.2兆円で買収 海外展開加速の足掛かりに
Miho Uranaka Shinichi Uchida [東京 11日 ロイター] - 日本生命は11日、米系生保レゾリューションライフの未保有分株式を約82億ドル(約1兆2000億円)で取得し、完全子会社化すると発表した。世界最大かつ安定的な成長が見込まれる米保険市場での買収を足掛かりとして海外展開を加速し、事業の分散を図りたい考えだ。 日生の清水博社長は会見で、レゾリューションの企業価値は今後も上がっていくと指摘した上で「マーケットがこれから拡大してくるとなれば、早い段階からマジョリティー(議決権の過半数)を持つか完全子会社にしてこれからの成長の可能性を取る」ことを考えたと説明。これまで手薄だった米国事業の展開は「ずっと考えてきた」という。 日生によると、レゾリューションは既契約受託市場では世界のトップクラスにあって資産運用能力も高く、今後の海外事業展開の中核に据える。買収によるグループ基礎利益への貢献は2023年度実績ベースで約500億円。海外事業の割合は4%から約20%、約1800億円に拡大すると見込む。 日生は3月に示した3カ年の中期経営計画に海外事業の拡大などを盛り込んでおり、国内外で計2兆円の投資財源を確保していた。 米市場では5月にもコアブリッジ・ファイナンシャル買収を発表し、前日には38億ドル(約6000億円)の出資を完了。清水社長は「さらに別の会社(を買収する)という余裕はない」と述べ、米国に一定の事業基盤を築けたとして2社に最大限の資源を投じる考えを示した。 一方、米国以外の海外・国内の生命保険、アセットマネジメントの分野については「資金の状況をみながら、良いタイミングで事業投資を引き続き実行する」方針で、経営環境や業績が上振れている点を踏まえて、資金には「まだ余裕がある」との認識も示した。 レゾリューションライフの買収は、同社に出資する投資事業有限責任組合から株式約77%分を取得する。2025年下半期に完了する見込み。 また、豪連結子会社MLCについて、豪ナショナルオーストラリア銀行が保有する株式20%を5億豪ドル(約500億円)で取得した上で、レゾリューションライフの豪州持ち株会社の傘下に置くことでも合意した。 いずれも手元資金で行う。