“胸差”の僅差決着も! 箱根駅伝、仲間の思いを背負い激走「伝説のアンカー勝負」列伝
最終の10区に入った時点ですでに勝負がついていることが多い箱根駅伝だが、第97回大会(2021年)では、駒澤大が9区まで3分19秒差をつけられていた創価大をアンカー勝負でひっくり返し、逆転優勝した快挙も記憶に新しい。過去にあった伝説のアンカー勝負を振り返ってみよう。 【ランキング】過去を振り返る!箱根駅伝エントリー選手の出身高校ランキングはこちら 最終区で2分17秒差を逆転し、大会初の6連覇を成し遂げたのが、第40回大会(1964年)の中央大だ。 同年、「史上最強」メンバーを擁し、ダントツの“本命”とみられていた中大は、3区で国士舘大、日大に差を広げられ、思わぬ苦戦を強いられるが、4区・岩下察男、5区・中村健司の連続区間賞の力走で逆転し、2位・日大にわずか13秒差で往路を制した。だが、復路は6区で日大に再びトップを奪われ、45秒差をつけられてしまう。さらに8、9区も日大に僅差で及ばず、9区終了時点で、逆転は絶望的にも思える2分17秒差に広がっていた。 だが、勝負は下駄を履くまでわからない。雪が激しく降りしきるなか、中大・若松軍蔵、日大・高野俊雄のアンカー対決となった10区は、前半からオーバーペースで飛ばした若松が11キロ地点で33秒差まで肉薄。泥を頭まで跳ね上げながら力走する若松は、ついに青物横丁駅横で高野をとらえると一気に抜き去り、そのままトップでゴールのテープを切った。 2位・日大との差は、史上2番目(当時)の最短時間差の28秒。最終区での鮮やかな逆転劇による前人未到の6連覇達成に、菊池由紀男監督も「このレースを戦いとることができたのは、勝利への執念と伝統の力です」と感無量だった。 惜しくも逆転はならなかったものの、1位・早稲田大に21秒差まで迫ったのが、第87回大会(2011年)の東洋大だ。 5区で“山の神”柏原竜二が激走し、3位からの大逆転劇で往路3連覇をはたした東洋大だったが、「柏原で1、2分の貯金」の目算が外れてしまい、27秒差でスタートの復路は6区で早大に抜かれ、7区でも1分24秒差に引き離される。8区・千葉優、9区・田中貴章が連続区間賞で追い上げるも、9区終了時点で、まだ40秒差あった。