「鳥栖らしさを監督が必死に出そうと」崖っぷちのJ1サガン鳥栖 残留へ原点回帰 中断期間「いいトレーニングできた」
2012年からJ1で戦い続けるサガン鳥栖が初の降格危機に陥っている。現在7勝3分け19敗の勝ち点24で最下位(20位)。 ■鳥栖から移籍した主な選手 残りは9試合。成績不振による監督交代、主力の大量流出、エースストライカーの負傷と逆風が吹き荒れる中、伝統の堅守を整備して逆転残留を狙う。 9日に佐賀県鳥栖市で行われた公開練習後。鳥栖の木谷監督は前節湘南戦(8月31日)からの1週間を「攻守の共有やプレーの強度、基準を上げた。いいトレーニングができた」と振り返った。 鳥栖はハードワークと堅守速攻を持ち味に、J1初昇格から13年間残留。2018年は14位、19年には15位で、ともにJ1参入プレーオフに回る16位と同じ勝ち点だったが、失点を抑えたことで得失点差で上回った。 しかし攻撃サッカーを志向した今季は29試合のうち無失点が5試合で、J1最多の57失点と守備が崩れた。さらに今夏は攻守の要だった河原が川崎へ、チーム2位の5得点した横山もイングランド3部のバーミンガムへ移籍するなど、主力が大量に流出した。8月9日から指揮する木谷公亮新監督も立て直す時間がなく、1分け後に3試合で9失点して3連敗した。 J1は13日まで約2週間の中断期間に入っており、木谷監督はその間に守備の整備に着手した。クロスボールへの対応や相手の攻撃に応じたDFラインのコントロールなどを綿密に確認。木谷監督は初昇格を決めた11年のセンターバックで、堅守速攻の伝統を肌で知る。13~19年に在籍し、移籍を経て22年に鳥栖へ復帰した福田は「今のチームに足りない、鳥栖らしい粘り強さを監督が必死に出そうとしてくれている」と実感する。 J1残留圏内の17位湘南とは勝ち点8差で残り9試合。一般的に残留ラインとの勝ち点差が残り試合数より多くなると、残留は厳しいと言われる。チームトップ12得点のマルセロヒアンも左脚の負傷で離脱中。崖っぷちの状況で、13日にはリーグ屈指の攻撃力を誇る川崎とのアウェー戦を迎える。「とにかく次の1試合に向けてどれくらいパワーを出し、勝ち点を取れるか」と木谷監督。原点回帰で厳しい戦いに挑む。(末継智章)
西日本新聞社