春香クリスティーンが考える 子育てと政治 課題解消への入り口は「議論」と「思いやり」
■母となって思うこと
新内:春香クリスティーンさんといえば、政治マニアとしてもお馴染みだと思うんですけれども、子育て世代となって感じたことはありますか 春香:そうですね。私は政治ウォッチャーというのか、趣味で国会に傍聴だったりとかで足を運んだりする機会が多く、選挙の時とかは全国各地の街頭演説をまわったりしていましたけど、そういうのとはまた別の関わり方で、政治だったり、行政だったりに対する接点が増えたなっていうふうに感じます 新内:はい 春香:実際に増えたというより、増えたなと感じる機会が多くなったな、と。例えば妊娠した瞬間に母子手帳を市区町村、市役所だったり、区役所だったりに取りに行き、そこから面談を受けたりとか、こういうサポートがありますよって冊子をもらって、こんなにいろいろなサー ビスが実はあったんだっていうような接点があったり、知る機会も増えたのかなという印象がありますね 新内:確かに、当事者になってみないと、自分の生活が変わってみないと分からないことってたくさんありますもんね 春香:それまでって、区役所とかって…… 新内:いや、引越しぐらいしか(笑) 春香:ですよねぇ(笑) 東島:そうですよね 春香:そうなんです 新内:なので、確かに自分もまだ知らないことって、たくさんあるんだろうなって思うんですけども、春香さん自身、これは結構課題だなって感じる問題とかはあったりするんでしょうか 春香:課題はいろいろとあるとは思います。実際、自治体によっても行われていることって違うと思うので、その自治体間のギャップっていうのもあると思うんです。それぞれの自治体が持っている課題も違うと思います。例えば 東京都心で親と子供だけの世帯で子育てしているのと、地方ですぐ隣に両親もいるっていう状況でも、多分必要なサービス、必要な支援って違ってくると思うので、それぞれに合ったものが今、賄えているのかっていうと、多分まだまだいっぱいできることはあると思います。それと同時に、もちろん政治とか行政もあるとは思うんですけれども、空気感というか、私たちがアプローチできるものもたくさんあるのかなと思います。ちょっと政治から外れて考えると、例えば私は休業期間中に会社員、派遣社員の仕事をしている時期があったんです 東島:一般企業で働かれていたんですよね 春香:はい。幸いにして、すごく恵まれた環境で、そこに対しての不満は全くなかったんですけれども、やっぱり働いている身としては、これまでバリバリ働いて誠意を見せるっていうのが私のやり方というか、それで信用を勝ち取っているつもりだったんですね。でも、子供が生まれた瞬間に、そういうわけにはいかなくなる。自分の生活環境が180度 変わって、『あっ、無理だな』って。子供が熱を出したら誰かが迎えに行かないといけないし、何とかしないといけない。でも、自分は変わっているかもしれないけど、自分の環境は、周りの環境は必ずしも変わっていない。なのに、そこを理解してくださいっていう言葉だけで、どこまで理解してもらえるんだろうかっていうところはあると思うんですよね。実際に私の周りは、確かに理解してくれる環境だったのですごく助かったのですが、やっぱり申し訳ないっていう思いが出てきちゃうんですね 東島:はい 新内:うーん 春香:そういった意味で、子育てしているから配慮してくださいっていうだけでなく、少しでも人に対する配慮っていうのがあってもいいのかなって。お互いに休まないといけない時、介護もそうですけれども、普通に何か自分の趣味で休みたい、こういう時に有給を取りやすいというような環境があったら、お互いさまだよねって思えるのかなあって。そうしたら、いつもこの人にばっかり負担をかけているわけじゃないよねっていうふうに、こっちも思いやすいのかなって思う瞬間はあったりしますね 新内:お子さんが熱とかを出されることも、年に何回かあるわけじゃないですか。でも、それが続いていくと、ちょっと言いにくいなっていう雰囲気とかが出てきたりする 春香:うんうん 新内:それを解消できる仕組みみたいなものがあったらいいですよね 春香:もう、まさに。特に小さい時、保育園の通い始めとか、本当にびっくりするくらい、またっていうくらい風邪をひくので、仕方ない部分はあるんですけれども、その分、私だけ休んでいるっていうんじゃなくて、お互いさまだよねってできるような環境であると休みやすいのかなって思ったりしますね 新内・東島:そうですね 東島:結構、空気感っていうのはポイントだと思うんですけど 春香:空気感 東島:例えば、育休が取れるとか、そういった会社の中の仕組みづくりは、ある程度始まり出したっていう段階ではあると思うんですね、概ね。だけど、それをいい形で活用していくっていうところに立ちはだかるのが、空気感っていうところもあるのかなあと 新内:空気感、ありますよねぇ 東島:これを変えるには、結構長期戦になりますかね 春香:どうなんですかね。でも、本当に会社で誰か一人が取り始めると、当たり前のように次から次へと取りやすいような環境になりしやすいと思います 東島:そうですね 春香:会社の中でも“最初に立つ人”って結構、難しいのかなって。でも、それだけ大切な役割なんだよっていうのは、伝えたいですね 東島:そうですね