「中学受験で併願校が決めきれない」という小6母の悩みに、受験のプロが教える「学校との相性」の見極め方
「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さん。教育ジャーナリストおおたとしまささんも参加して11月に3人で行われた「中学受験『うまくいった』家庭の極意」セミナーから、小6のお母さんの学校選びについての悩みに答えます。 【マンガ】「全落ち」した子はかわいそう? 大人の“勝手な思い込み”に気づかされた、子ども同士の会話とは(全35ページ) 【相談】 今さらですが、併願校が決めきれていません。娘は、どの学校に見学へ行っても楽しめそうと言います。このような場合、どのような基準で併願校を決めれば良いでしょうか。(小6女子の母) ■「どこも楽しめそう」というのはすごくいい 矢萩:「置かれた場所で咲きなさい」じゃないですが、どこに行っても楽しめる、というマインドならば、本当にどこに行っても楽しむことができると思います。ただし、どの学校も全く同じ、ということはないですよね。どんな先生がいるか、どんな同級生と一緒になるかは通ってみないとわからないのでそこはなんとも言えないですし、あらかじめわかる情報でも必ず違いはあるはずです。例えば、A、B、Cという3つの学校で迷っているとしたら、その違いをちゃんと書き出して整理してみたほうがいいと思います。それをリストや表にして客観的に見てみると、自分はこの項目の優先順位が高いからこっちの学校のほうがちょっといいかも、といったものが見えてくるかもしれない。「全部楽しそうだから全部いい」みたいに漠然と考えるよりは、要素をちゃんと書き出してみることが大事かと思います。 安浪:まず、お嬢さんが学校見学に行って、どこも楽しめそう、と思ったというのはすごくいいことですよね。学校って部活をやったり、友達を作ったりといろいろありますが、基本は勉強する場なんです。ですからやっぱりカリキュラムや時間割がどうなのかはとても大事だと思っています。あるお子さんの例なんですが、チャレンジで受けた学校に合格して、最初は「ラッキー」とすごく喜んでいたんです。でもその学校のカリキュラムはかなりハードで、周囲の子達のレベルも高く、授業についていけず、不登校になってしまいました。だから学校のカリキュラムはもちろん、拘束時間や補習の有無、内容などもできる限り調べたほうがいいと思います。小テストも一定の点数が取れるまで何回もやらされる学校もありますから。それがいいか悪いかはともかく、その学校がどのような学習スタイルなのかは重要かと思います。