出生体重664グラムの赤ちゃん 早産児ケアは家族を“真ん中”に「ファミリーセンタードケア」模索続く 家族が積極的にケア参加 一緒に成長…母「チームに入れてくれてありがとう」
肌と肌のふれあいを実践
すぐに実践したのが「ホールディング」。 本来ならまだお腹の中にいる時期の赤ちゃん。手で優しく包み込む。 父親の竜也さんや祖父母も行った。 1カ月後に行ったのは赤ちゃんを抱く「カンガルーケア」。肌と肌のふれあいは赤ちゃんの体温や呼吸を安定させる効果があるとされている。由里絵さんは長い時で3時間ほど抱いて過ごした。 母・由里絵さん: 「看護師の方が、すごくいい顔してるねって声を掛けてくれて。生きていけるのかっていう状況だけど、『あ、育児ってできるんだ』って」
「ファミリーセンタードケア」導入した病院
早産児は少子化の影響もあって2022年は4万3000人余り。ただ全体に占める割合はわずかに上昇傾向で、2022年は5.6%だった。これは高齢出産の増加や医療の進歩で救命率が上がったことが要因とされている。 長野県立こども病院 新生児科・小田新医師: 「助かることはできているけど、その先、いかによく助けるか、良い状態で助けてあげることができるかを、みんなで頑張っているところなんです。(家族と)いいパートナーシップをつくって、赤ちゃんのケアをやっていこうと」 海外の研究では、家族の積極的な関与は早産児の成長や発達を促し、退院を早める効果があるとされている。家族の不安やストレスを軽減させる効果も。 それに基づくのが「ファミリーセンタードケア」。考え方は日本にも紹介され、各地の病院で取り組まれているが、効果に関する研究は少ないという。 そこで、県立こども病院はフィンランドの大学病院から「プログラム」を学び、2023年に病院に取り入れ、研究も始めた。 まず見直したのは家族とのコミュニケーション。一方的な報告ではなく、一緒に考えてもらうよう、声掛けをした。家族との「パートナーシップ」をつくる第一歩。 長野県立こども病院 新生児科・小田新医師: 「きのうときょう、赤ちゃんの様子どう違いますか、という感じのことを聞くと、『そう言われるとどう違うかな』とか、親御さんたちも赤ちゃんのことをより知りたい、もっと前のめりに観察するようになる」