秋は肌表面のキメが乱れ、毛穴が目立っている（資生堂提供）

　記録的残暑が終わり、夏の疲れが体に蓄積しているこの季節、肌も夏バテした状態だという。どんなケアが必要なのか。資生堂ジャパン西日本支社美容部の片山奈穂さんに肌の状態とお手入れ方法を聞いた。　（山本孝子） 【写真】秋は肌表面のキメが乱れ、紫外線の影響でシミが目立つ 　「秋の肌は夏バテした状態で、1年の中でもダメージが大きいんです」と片山さん。夏といえば紫外線ダメージ、汗や皮脂によるべたつきの印象が強いが、実は乾燥も進みやすいのだという。 　一見潤っているようにみえても、こまめに汗を拭くたびに肌表面の潤いも奪われる上に、室内の冷房で肌内部は乾いている「隠れ乾燥」の状態になる。また近年、酷暑をしのぐのに欠かせなくなった携帯扇風機だが、この風を肌に直接、長時間当てていると、乾燥が進んでしまうのだ。 　ではこれらのダメージを受けた「夏バテ肌」とはどういう状態なのか。自分で分かりやすいのがごわつきやくすみだ。 　肌の一番外側にある表皮は約6週間で生まれ変わっていて、表皮の表面の角層が水分を蓄えている。ダメージを受けた肌では、肌のバリアー機能や保湿力が低下するほか、肌が生まれ変わる際に古い角層がはがれず、肌表面にたまって厚くなるため、ごわつきを感じたり、肌色がくすんで見えたりしてしまう。1年のうち、秋の肌色は最も透明感がなく、黄みが強くくすんで見えるという。 　このほかの自覚症状としては（1）洗顔時に肌のざらつきを感じる（2）ファンデーションののりが悪く感じる（3）シミが以前より濃くなった－などだ。また秋になると湿度の低下や朝晩の寒暖差、花粉の影響で、肌が不安定になることもある。 　資生堂ではサイト上でスマートフォンを使った肌測定「肌パシャ」を行っている。スマホで自身の肌を撮影すると、その画像と問診を基に肌の潤いやハリ、シワ、シミの状態を確認できるので、自分の肌状態を知る目安になる。さらに詳しい測定は一部の肌測定機器取扱店で行っているという。 　　　　　§　　§ 　紫外線によるダメージといえば、シミの増加などが思い浮かぶが、肌内部にも影響し、ハリや弾力が低下する一因にもなる。「夏が終わり、冬の乾燥がくる前の今こそ、肌を底上げする必要があります。冬になってからお手入れしても、回復には時間がかかるのです」と片山さんは強調する。 　まずは基本のスキンケアをしっかり行うことが大切だ。洗顔料をよく泡立てて少ない摩擦で洗顔し、しっかりと洗い流す。フェイスラインは洗い残しがあるので要注意。化粧水はコットンを使って浸透させ、乳液やクリームなどの油分で閉じ込める。暑くて肌がべたつくからといって使用量を少なめにするのは厳禁だ。 　その上で、スペシャルケアとして、古い角層を取り除く拭き取り化粧水、化粧水の浸透をよくするブースター化粧水、血行を促進するマッサージ、美容成分を集中的に肌に届けるマスクなどもお薦めだ。 　秋は過ごしやすくなり、スキンケアを簡単にしがちだが、油断せずにお手入れしよう。