「こしあんバー」なぜヒット? つぶあん派も魅了、「生あん」の開発背景を聞いた
あずきバーブランドの強化
「あずきバー」シリーズも猛暑の影響を追い風に好調だ。売り上げ本数は4~9月期として過去最高を記録。2023年の発売50周年を機に、「宇治金時バー」を「あずきバー抹茶」に、「ミルク金時バー」を「あずきバーミルク」に、それぞれリニューアルした。シリーズ全体で「あずきバー」ブランドとして統一した。 原材料面でも見直しを図った。元々、あずきバーの原材料は砂糖、小豆、水あめ、食塩、コーンスターチの5種類だった。リニューアル後はコーンスターチを使用せず、同社の小豆を粉末化したものを使用することで、原材料を4種類に絞った。 「食品パッケージの表示をより分かりやすくするクリーンラベル化を進めつつ、より自然な味わいを追求した」(近藤氏) パッケージについては長年築き上げてきたブランドを保つため、大幅な変更は避け、商品名の統一を中心とした調整にとどめている。このようなリニューアルを実施した結果、3商品すべてが前年比で売り上げを伸ばした。
海外での販売も好調
国内のアイス市場は夏季以外の消費も定着したことで、成長が続いている。井村屋は、国内市場での地位を確立しつつ、海外展開も積極的に推進する。あずきバーは現在20以上の国と地域に輸出しており、和食ブームや和菓子の健康的なイメージが追い風となり、アジアや米国で人気だという。 「米国では、小豆を甘く煮て食べる文化がないため当初は苦戦したが、和食ブームや和菓子の健康的なイメージが浸透し、徐々に受け入れられつつある」と近藤氏は語る。同社の海外事業売上高比率は現在7.4%となっており、2026年度末までに8.8%まで引き上げる目標を掲げている。 国内でも新たな展開を進めており、2025年3月からはアップサイクルセンターの稼働を予定。おからやあずきの皮、カステラの切れ端の加工により、食品ロスの削減を目指すとしている。 一方、アイス事業では人気商品となった、こしあんバーの定番化を検討している。製造設備の整備などの課題はあるものの、「あん」にこだわる井村屋の新たな定番商品の一つとなるか。 (カワブチカズキ)
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