外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
グリーンスローモビリティとは?
グリーンスローモビリティという聞き馴染みのない名称だが、これは高齢化が進む地域や環境問題にシビアな観光地域内の交通手段として、国土交通省が主体となって実証実験、および導入が進められている低炭素型モビリティを指す言葉だ。 主な特徴は3つある。ひとつめは、道路運送車両法の基準が一部緩和されており、窓ガラスが無くても公道を走れること。そして、シートベルトやチャイルドシートの装着が免除される分、最高速度は20km/h未満に抑えられていることだ。 ふたつめは環境に配慮した電動モビリティであること。3つめは従来の公共交通ではカバーしきれなかった短距離の移動サービスに特化していることが挙げられている。 これらの特徴を生かし、軽自動車規格で4人乗りのタイプや、ゴルフカートを模した7人乗りの小型自動車、18人乗りの普通自動車(運転には中型自動車免許が必要)など、さまざまなバリエーションが誕生している、いま注目のモビリティだ。
注目ポイント多数のタジマモーターコーポレーション「NAO2」
タジマモーターコーポレーションの「NAO2」が特徴的なのは、座席下に容量18.8kWhのバッテリーを備え、4輪すべてにインホイールモーターを配置することで超低平床が実現している。よって、路面から床までの高さはわずか250mmしかなく、フラットなフロアによりノンステップで容易に乗り降りが可能だ。よって、高齢者や幼児の乗降性に優れている。加えて車内はフルフラットなため、座席レイアウトのカスタマイズ性が向上し、進行方向に向いたレイアウトだけでなく、観光用途に窓に向けて座席を配置するなど、納入先の用途に応じてカスタマイズすることができる点も光る。 車両後方にはアクセスドアが設けられ、浅い角度のスロープを介して車いすに人が乗車したまま乗降が可能になっている点も、高齢者を支援するグリーンスローモビリティとして使用されることを想定している乗り物が故に、見逃せない機能のひとつだ。 また、外観からもわかるとおり、各座席ごとにドアを装備している点も見逃せない。そのため、降車地点で車内を移動してドアに向かうのではなく、座った位置から直接ドアにアクセスすることができるので、車内転倒の防止にもつながる。 外装は軽量で意匠性の高い塗装レス樹脂パネルを採用。すべての窓は断熱性に優れ、耐久性が高い表面硬化ポリカーボネートを使用し、車体側面を覆うように開放的なウインドウエリアを形成している。これにより広大なウインドウを備えながらも遮熱性に優れ、エアコンも4基搭載しているため、車内の快適性は従来型に比べても向上しているそうだ。 車両の説明をしてくれたタジマモーターコーポレーションの加賀商品開発部長によれば、エアコン4基をフル稼働させると、さすがにカタログスペック上の120kmという満充電走行距離は不可能なものの、それでも約40km程度は走行できるという。これをグリーンスローモビリティ導入先の利用実態に置き換えると、時速20km/h未満で狭いエリアを走行することを想定すれば、およそ1日は充電せずに運行することができるのだという。