岡崎友紀『おくさまは18歳』こぼれ話。撮影直前「飛鳥」から変更になりかけた役名とは?「石立鉄男さんらのセンスがあってあの世界が完成した」
◆石立鉄男さんとのエピソード この企画書の〈配役〉欄には私の他に『哲也=石立鉄男』と記されていて、すぐに2年前のNHK主演ドラマ『あねいもうと』のロケを思い出しました。 NHK『あねいもうと』は1年間の連続ドラマで、4月からオンエアがスタートして、半分くらい話が進んだ真夏、瀬戸内海の「家島(いえしま)」という島でロケーション撮影がありました。 その時の話(わ)に登場したゲストが、島の青年役の石立鉄男さんでした。 ちょうどそのロケの期間中に、私が15歳の誕生日を迎えたので、スタッフさんたちが可愛いデコレーションケーキまで用意して、撮影隊の宿泊していた民宿でお祝いをしてくれました。 そうしたら、なんと石立さんもその日が誕生日だったんです! この偶然にみんなでびっくりくり~! 急遽、二人の誕生日会となりました。 その翌年の春、フジテレビ『父ちゃんが行く』という連続ドラマで、渥美清さんの娘役でレギュラー出演をしていた時、局の廊下でバッタリ石立さんと出会いました。 『あねいもうと』のロケでしか会ったことないのだけど、お誕生日が同じだったことの印象が強かったからか、お互い「おーっ!」「わーっ!」とか言いながら、大袈裟なハグで再会を喜びました。 そしてその1年半後、今度は『おくさまは18歳』での共演となったわけです。
◆『おくさまは18歳』の世界 当時のテレビは、青春もの、学園もの、スポ根ものが、視聴率を弾き出せる安定路線としてテレビ局では好まれていて、企画書の山も、ほとんどがそういった内容の番組でした。 老いも若きも幼きも、チャンネルの争奪戦に加わって、一家に一台のテレビが、茶の間の主役だった時代です。 ジャンケンで負けると服をどんどん脱いでいくお笑い番組や、怖がらせて悲鳴をあげさせたり、泣かせたり、視聴率のためにはセクハラもパワハラもモラハラもやりまくれ~!という娯楽番組作りの流れが見え始めたのもこの頃で、私はこういうノリにはどうしても馴染めませんでした。 コメディエンヌとして仕事を選びたいと考えている私でしたが、そのセンスを理解してもらうことの難しさに、常に直面していました。 ともすれば「ドタバタのお笑い」となってしまう危険を持つコメディ。 ここをしっかり演劇として完成させるのが勝負どころなんですけどね。 そのセンスを、実によく理解して演出に反映させたのが、湯浅憲明監督(映画監督。代表作は『ガメラ』シリーズ。のちにテレビドラマの演出も手がける)でした。 湯浅監督が『おくさまは18歳』のメイン監督でほんとうに助かりました。 私の表情の変化、目の動き、体の動き、セリフのメロディやリズムなども、全て見逃さずに演出しようと考えてくれて、とてもありがたかったです。 そして、共演の皆さんの「センス」も素晴らしかった! 哲也の石立鉄男さん、海沼先生の寺尾聰さん、校長先生の森川信さん、渋沢先生の冨士真奈美さんたちの、俳優としての確かな技術が加わったからこそ、『おくさまは18歳』の世界が完成したのだと思います。
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