AIエージェントの発展とRAGの新境地、「エージェンティックRAG」が注目される理由
既存RAGの課題解決で注目されるエージェンティックRAGとは?
エージェンティックRAGは、AIエージェントをRAGパイプラインに組み込むことで、情報検索と生成の精度を向上させる手法である。このアプローチは2024年に入り、エージェントシステムの発展に伴い、大きな進展を見せており、投資・開発動向はさらに活発化する見込みだ。 エージェンティックRAGの最大の特徴は、AIエージェントの自律的な判断能力にあるといえるだろう。AIエージェントは、LLM(大規模言語モデル)をベースに、メモリ機能、プランニング機能、そして外部ツールへのアクセス機能を備えている。これにより、単純な情報検索と生成を超えた、より高度な情報処理が可能となる。 代表的なAIエージェントの1つがReActと呼ばれるフレームワークだ。ReActは「Reason(推論)+Act(行動)」の略で、AIエージェントがユーザーのクエリに対して以下の3つのステップで対応する。まず「Thought(思考)」でクエリの意図を理解し、次のアクションを決定。次に「Action(行動)」で、決定したアクションを実行。最後に「Observation(観察)」でアクションの結果を評価する。このプロセスを、タスク完了まで繰り返す。 エージェンティックRAGのアーキテクチャには、シングルエージェントとマルチエージェントの2つのパターンが存在する。シンプルな構成のシングルエージェントは、複数の情報ソースから最適なものを選択するルーターとして機能する。一方、マルチエージェントでは、情報検索を統括するマスターエージェントの下に、社内データ、メール、チャット、ウェブ検索など、それぞれの情報ソースに特化したエージェントを配置する。 このようなアーキテクチャにより、エージェンティックRAGは従来のRAGシステムにない柔軟性と機能性を実現。クエリの意図を理解し、適切な情報ソースを選択することが可能だ。また、必要に応じて複数のステップに分解し、各ステップで最適なツールを使用することで、より正確で信頼性の高い回答を生成できるようにもなる。