【サッカー日本代表 板倉 滉の「やるよ、俺は!」】第28回 最速激白! W杯アジア最終予選、 11月アウェー2連戦を終えて
■中国の奇策!? 〝幅狭ピッチ〟に驚愕 中国によるアウェーの洗礼は相当だった。芝の状態が良くないこと、ラフプレーは想定内だったけど、まさかの〝幅狭ピッチ〟。基本の横幅よりも両サイド1.5mずつ内側にピッチラインが引かれていたのだ。 前日練習のタイミングで知ったけれど、そのときはそれほど違和感を覚えることはなかった。でも、いざ試合に入ると、サイドのほうでボールを持ったときに狭さを感じた。お世辞にもいい環境とはいえなかった。 その分、僕らはセットプレーで勝負強さを示せた。前半39分にMF(久保)建英のコーナーキックから、FW(小川)航基がヘディングで先制。続いて、前半ロスタイムにMF(伊東)純也君のコーナーキックからニアサイドにいたDF(町田)浩樹が頭でそらし、ファーサイドにいた僕がダイビングヘッドで追加点を決めることができた。 すべてデザインどおり。前日、浩樹には「ボールが来たときは自分で決めなくていいから、首を振ってファー目がけて打って」と冗談交じりにお願いしていた。練習時、僕はニアにいる相手をブロックしてからファーに回り込んでいたので、タイミングが間に合っていなかった。 だから本番ではブロックを省略してファーに駆け込んだ。そうしたら、いい具合にボールが転がってきたので、体の芯を使ってど真ん中に当たるように全身で飛び込んで得点できた。 振り返れば最終予選の初戦、ホームの中国戦(9月5日)で生まれた、MF(遠藤)航君の先制点を皮切りに、僕のゴールも含めて、日本はセットプレーからのヘディングで6戦合計4得点をマークしている。もちろん、ここから先はこの形が警戒されるだろうけど、僕らは僕らで強力な武器として、精度をよりいっそう高めていくつもりだ。 オプションで言えば、真ん中での〝崩し〟もさらに完成度を高めたいところ。アウェーでの中国戦80分、前がかりになってきた相手に対して、僕から航君、MF(鎌田)大地君、MF(田中)碧と、ワンタッチでつないでフィニッシュまで持っていったいい場面があった。大地君は間に入るのもうまいし、ボールを引き出すポジショニングが絶妙。真ん中でこういった攻撃パターンを実践すれば、相手がそれを意識することで、逆に僕らにとっては強みであるサイドが空いてチャンスを作れる。 だからこそ、僕にとっての課題は、真ん中でしっかりコントロールして、相手を引きつけられるような球の運び方をすることだ。 一方、守備面においてアウェー2連戦で痛感させられたのは、攻め続けている分、どうしても大きなスペースで1対1を守らないといけない状況が多かったので、そこでもっと相手に行かないとダメだということ。後半へ進むにつれて、疲労も蓄積していく中、どう踏ん張って守り切るか、しっかり修正したい。 来年の3月20日、ホームのバーレーン戦で勝てば、26年北中米W杯出場が決まる。ホームで大一番を迎えられるのは理想的。油断せず試合に臨み、応援してくださる皆さんとW杯出場の喜びを分かち合いたい。 構成・文/高橋史門 写真/VCG/アフロ