10月の基本給、一般労働者で過去最高の伸び-日銀利上げ観測後押し
実質賃金の算出に用いる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は10月に前年比2.6%上昇。9カ月ぶりの低い伸びとなり、実質賃金の改善に寄与した。
JPモルガン証券の藤田亜矢子チーフエコノミストは、大幅な円安進行や対外的ショックによるインフレがないなら、実質賃金が「マイナスに来るような基調ではない」と指摘。その上で、「企業にまだ賃上げ余力が残っている。労働市場がタイトな中で、ここで賃金を上げないという選択肢はあまりない」と語った。米国のデータ次第としながらも、今回の賃金統計は12月の利上げを後押しする結果とみている。
日本最大の労働組合の全国組織である連合は、25年春闘の賃上げ目標に24年と同水準の「5%以上」を掲げる一方、中小企業は格差是正分を加えた「6%以上」を要求する方針だ。
石破茂首相は先月26日開催された労働団体と経済界の代表らとの政労使会議で、25年春闘では33年ぶりの高水準となった24年の勢いで大幅な賃上げを実現するよう求めた。新たにまとめた総合経済対策では、価格転嫁の円滑化などの環境整備を推進するとともに、経営基盤の強化・成長に向けた支援を拡充。政府として中小企業の賃上げを後押しする。
総務省が6日発表した家計調査によると、10月の消費支出(2人以上の世帯)は物価変動の影響を除いた実質ベースで前年同月比1.3%減と、3カ月連続のマイナスとなった。市場予想は2.5%減だった。前月比では2.9%増加した。
--取材協力:横山恵利香.
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Keiko Ujikane