島田珠代「夫のがんで、娘と離れて暮らした10年。携帯で、洗濯物に埋もれて放心している娘を見て泣いた日」
◆姑に甘えることの方が得意だった私 娘は離れて暮らす私の母に“生存確認”と称して決まった時間に電話しています。スピーカーにして電話をしているので聞こえてくるのですが、「そんなんするから、おばあちゃんは嫌われんねんで」と祖母に対して毒舌をかましている娘。対しておばあちゃんもガハハと笑って「そやけどあんたもなぁ!」と楽しそうにやりとりしています。 私は高校生で仕事を始めて家を出たからなのか、母に対して、そこまで歯に衣着せぬ喋り方ができません。2人の元夫とはうまくやれなかった私ですが、なぜか2人のお姑さんとは良好な関係を築くことができました。 吉本に入って以来、礼儀を通さなければいけない大先輩方に可愛がってもらうことが日常だったため、「敬意を持って一定の距離を保つ」ほうがうまくやれるのかもしれません。先輩の鏡を磨いたり、靴を揃えたり、飲みに行こうと誘ってもらったらお酒が飲めなくても朝までお付き合いをしました。そんな先輩後輩関係は私にとって心地よく、得意分野なのです。 今でも実の母に対して甘えきれない私は、素直におばあちゃんの胸に飛び込める娘のことを少しだけ羨ましく思う毎日です。
◆心の中に生きている 元夫がだいぶ身体が弱ってきた時、珍しく電話をかけてきたことがありました。「俺、死ぬのが怖いねん」と普段にはない弱音を吐く夫。夫に言ったのは「あなたの血は娘に流れているんだから、娘が立派に生きていく限りあなたは死なないよ」。そう伝えると彼は「良いこと言うね」と言って、電話を切りました。それが最期の会話になりました。 人はお互いの心の中に生き続ける存在だと私は常に思っています。離れて暮らしていた娘とのやりとりでも「あなたはママの心のマンションの最上階に住んでいるから」という言葉を繰り返し伝えていました。その言葉を最近になって伝えた人がいます。 TikTokの世界で有名な女の子“りおな”ちゃんです。先天性疾患を患って生まれたりおなちゃんですが、わずか7歳の彼女の言葉は面白くて鋭くて、芸人顔負けのおしゃまな女の子。実はフォロワー40万人の彼女から「ファンです」という思いをSNSを通じて伝えられてはいたのですが、慣れない私はどうやって繋がって良いのかわからないでいました。そんな時、読売テレビの『情報ライブ ミヤネ屋』さんから、りおなちゃんと会ってみませんかというお話をいただけたんです。 その時の模様が、自分で言うのもなんですが感動的だったもので、TikTokを中心にかなりバズってしまいました。(気になった方は「りおな 島田珠代」でググってみてください。)それから私とりおなちゃんとの交流が始まりました。りおなちゃんにも「私をりおなの心のマンションに住まわせてください」とお願いしています。今度は私が彼女の住む愛媛に会いにいく約束をしています。電話でお話しすることがあるのですが、私も彼女からいつも大きなパワーをもらっています。
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