紅葉名所がピンチ! 観光客が「東日本大震災 以来」の激減 町を悩ます落石・SUP事故・台風後遺症の“三重苦”
静岡県の紅葉名所・寸又峡温泉がピンチだ。例年11~12月には多くの観光客で賑わうが、2024年は人影がまばらだ。人気スポット「夢のつり橋」に向かう遊歩道が9月の落石で一時通行止めになり、町が応急的な工事をして開通にこぎつけたが観光客は戻らない。観光関係者は「東日本大震災 以来の少なさ」と嘆く。
紅葉シーズンなのに観光客まばら
風光明媚な静岡県川根本町。その雄大かつ壮観な眺めを求めて、コロナ禍以前は年間10万人以上が訪れていた人気の観光地だ。とくに紅葉シーズンには、美しい景色を楽しむことができる「夢のつり橋」が人気だ。 川根本町まちづくり観光協会のHPでは、「温泉街から夢のつり橋をめぐる遊歩道が整備されており約90分で周遊できます。エメラルドグリーンの川面から高さ8m、長さ90mにわたってかけられている夢のつり橋では、揺れる橋の上から色鮮やかに染まった木々と湖のコントラストが見事な絶景が楽しめます」と紹介している。 人気スポットだけに例年 この時期は渡るのに2時間から3時間待ちになるが、11月初旬に訪ねると観光客はまばらだった。地元の観光関係者は「これほど人が少ないのは13年前の東日本大震災の時以来だ」と嘆く。 観光事業者は「これは相当の危機。(夢のつり橋への遊歩道が)復旧しているにも関わらず、このお客さんの動きだと意外に少ない」「お客さんが本当に減ってしまったので、また同じことが何カ月も続くなら、経営が成り立たない」と危機感を募らせる。
今も残る落石に恐怖を感じる人も
要因の1つが2024年9月に起きた落石。寸又峡の温泉街から観光名所として知られる夢のつり橋へと続く道路を土砂が覆いつくした。 川根本町まちづくり観光協会・戸塚崇 事務局長: 自然が相手。そうなってきた時に我々が考え得る最善の方法を常に取り続けているが、想定を超えることがあるので、その都度新しい想定に対して基準をいろいろと設けていくしかない 応急的な復旧工事は1カ月ほどで終わり、紅葉シーズンを前にした10月18日には夢のつり橋までの遊歩道の通行が可能になった。 ところが肝心の客足は思うように戻っていない。 遊歩道を歩いた観光客は「怖かった。落ちた石がまだそのままだったので、『気をつけようね』と言いながら歩いた」「(再び)落石があった時にどうやって彼女を守るか考えて歩いた」と、落石現場を通った感想を話す。