日本がMLB復帰を睨んだ“調整の場”? 浪人生活を送る剛腕投手の売り込みに隠れた思惑「僕にとってメリットかも」
大物右腕の何気ない発言が注目を集めた。 声の主となったのは、MLB通算59勝(47敗)の剛腕ノア・シンダーガードだ。メッツ時代に2ケタ勝利を3度マークした彼は、現地時間11月26日に米ポッドキャスト番組『The Baseball Insiders』にゲスト出演。そこで自身の去就に関する考えを口にした。 【動画】球速が低下…日韓球界に興味を示すシンダーガードの投球を見る 「チャンスを与えてくれる球団ならどこでもいい。どこへでも行くさ。例えば、それが日本や韓国のチームでも1年間を通して投げられるとしたら行きたい。実際、周囲の騒音から離れ気持ちをリセットするには、自分にとってメリットがあるかもしれない。日本も韓国も、その文化をリスペクトしている」 アジア球界への強い関心を示すシンダーガード。しかし、現況は33歳ながら無所属という厳しいものがある。 2015年にメッツでデビューしたシンダーガードは、100マイル(約160.9キロ)前後の剛速球で相手を圧倒する投球で台頭。2年目の16年には14勝、防御率2.60と自己ベストをマークして声価を高めていた。 しかし、20年に右肘靭帯を修復するトミー・ジョン手術を執行すると、そこから球速が急激に低下。手術前は平均球速157キロだった速球は、ガーディアンズに所属した昨季は143キロにまで低迷。力でねじ伏せる投球ができなくなり、昨年8月にDFAとなってからは浪人生活を送っていた。 そうした彼の状態を考慮すると、日韓両球界がシンダーガード獲得に動くかは懐疑的にならざるを得ない。無論、MLB実績も豊富な彼の発言に対してSNSでは「来たら大騒動だ」「彼は見たい」という好意的な声は相次いだ。しかし、「助っ人」として雇う以上、ある程度の結果が計算できない限り契約は厳しいというのが実情だろう。 おそらくシンダーガード側の思惑は、マイナー契約以上のまとまった契約が得られる日韓どちらかでプレーし、ふたたびMLB復帰を目論むというものだろう。しかし、この点について韓国メディア『OSEN』は「1年の空白期間によってキャリアは下降線をたどっている。契約を得るのは容易ではない」と指摘。KBO(韓国プロ野球)でも活躍が難しいのではないかというシビアな意見を投げかけている。 果たして、シンダーガードは「メリットがある」とするアジアでの挑戦を本当に決めるのか。日本を“調整の場”と考えているなら厳しい成績となりそうな気配だが……。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]