グミ、爆売れの秘密は「情報拡散力」にあり。1袋500円以上でも売れる、デジタル時代の消費者を捉えた背景
今後の社会を担う世代
また、Z世代は今後の社会や消費を担う存在となっていくため、Z世代を意識した製品・サービス開発の取り組みが相次いでいる。 グミではないが、カンロは2022年2月、Z世代を主要顧客に想定した飴「エモーショナルキャンディ」を期間限定で発売した。若年層の飴離れに危機感を持つ同社が、PLAZAを展開するスタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニーと組んだ。 3種類の味があり、それぞれ「風」「恋」「夜」というテーマを設定した。パッケージ裏面には製品コンセプトに沿った詩を書き込んだ。「風」と「恋」は詩の内容に合わせて味が変化し、飴をなめている時間を楽しめるようにした。Z世代にとっては「味が変わらない」などの飴に対するイメージがあり、コンセプトを明確にした商品で新たな価値を提供しようとした。 Z世代のニーズを捉えた製品開発は、新たな視点を持つことにもつながる。カンロでは、こうした取り組みにより、製品のアイデアを練る際に柔軟性が生まれると期待する。
「好き嫌い」より「共感したい」
「SHIBUYA109lab.」所長の長田さんは「Z世代は『好き嫌い』よりも『共感したい』のほうが強い気がする。すごく好きな『推し』がいるとか、自分の主観がしっかり作用している部分もあるが、そうではない部分のほうが多い。自分の主観が強烈に働かないところに関しては、みんなが『いい』って言っているものに『わかる、わかる』と共感したい。そういう感じではないか」と、Z世代への価値観や嗜好を分析する。 毎週のように新商品が発売されるグミの市場は、企業と消費者が、まさに一緒に盛り上げていくパートナー同士という関係性が構築されている。「いかに『好き』を捉えて、それに応える商品を提供するか」ではなく、「いかに『共感』の空気を生むか」が、これからの生活者の消費意欲をくすぐるポイントになっている。 文/白鳥和生 画像/shutterstock
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