グミ、爆売れの秘密は「情報拡散力」にあり。1袋500円以上でも売れる、デジタル時代の消費者を捉えた背景
『グミがわかればヒットの法則がわかる』#2
いつの間にかガムに代わってコンビニの棚をにぎわせているグミ。その大ヒットの背景にはZ世代の情報発信力と、それを見る他の世代の購買力があった。 【画像】4個入りで500円以上した「地球グミ」 『グミがわかればヒットの法則がわかる』から一部を抜粋・再編集してお届けする。
Z世代とグミ
1990年代半ば以降から2010年代前半に生まれたZ世代。消費のパイとしては小さいが、デジタルネイティブである彼ら・彼女らの価値観や消費スタイルに着目したマーケティングは、新たなニーズを掘り起こすヒントになり、幅広い世代への波及効果も期待できる。
多様性を重視し、個性を認め合う世代
Z世代は多様性を重視し、個性を認め合う傾向が強いとされる。失敗談も含めてネットで何でも調べられるからこそ、Z世代は製品の購入に対して慎重な面もある。そして、生産や流通、 決定に至るプロセスの透明性を求め、企業の広告色の強い発信を好まない。 「SHIBUYA109lab.」所長の長田麻衣さんは「Z世代はSNSでトレンドを追いかけていて、あまり豊かではないが好きなものにはお金をかける。そういう人たちが今後、消費の中心になっていく。企業側から見ると『一緒に商品を盛り上げていくパートナー』として、きちんと動向を見ていくべき対象だ」と指摘する。
参考にするのはインスタグラムの情報
コミュニケーションの仕方もほかの世代とは異なる傾向がある。 Z世代は画像や動画を介したビジュアルコミュニケーションを重視する。視覚的な共通認識のもとで交流し、SNSで得られる身近な人のお薦めを購入の判断材料にする傾向が強いと見られる。
「地球グミ」のヒットはSNS発
2021年後半から2022年に話題を集めた「地球グミ」のヒットも、こうしたZ世代から生まれた。地球グミは、大陸の模様が描かれた透明のプラスチックケースに1個ずつ包装され、 地球儀のような見た目。グミの中にはマグマをイメージした真っ赤な「ラズベリー」のソースが入っている。 この地球グミは、正式名称は「Trolli Planet Gummi」。ドイツの老舗メーカーMEDERER社のブランド「Trolli」がスペインの工場で製造している。2020年秋から日本に輸入が始まり、PLAZAなどの店頭に並び始めた。 販売価格は1袋(グラム、4個入り)で500円以上と、グミにしては高価だが、店舗や正規のオンラインショップでは軒並み品切れ。通販サイト「アマゾン」ではプレミア価格がついた。
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