トランプ政策の持続的な恩恵受ける銘柄見極めへ-混迷深まる業種も
トランプ氏は輸入品に一律10-20%、中国製品には最大60%の関税を課す意向を示している。少なくとも一部の関税が実現する見通しとなったことで、小型株で構成されるラッセル2000指数は先週8.6%上昇した。同指数の構成銘柄で値上がり率上位のデジタル決済企業セズルの株価はその間、2倍となった。
また、バイデン政権下で銀行規制の強化を進めてきた規制当局を改革するとのトランプ氏の公約を受け、金融株も良好なポジションにあるとみられている。
ウェルズ・ファーゴの銀行アナリスト、マイク・メイヨー氏は、規制緩和の新時代がウォール街の収益性を押し上げる可能性があると指摘。シティグループ、ゴールドマン・サックス・グループ、JPモルガン・チェースの株価はトランプ氏の勝利を受けて急上昇した。
バークレイズの米国株式ストラテジスト、ベヌ・クリシュナ氏は「株式市場は、小型株を通じてトランプ氏の国内成長政策を、金融株や大手テクノロジー株への投資を通じて規制緩和への期待を織り込もうとしている」と語った。
キャタピラーなどの産業用機械メーカーは、エネルギーや鉱業関連商品の国内生産への注力から恩恵を享受する見通し。
ジェフリーズのアナリスト、スティーブン・ボルクマン氏は、同セクターのトップピックとして再びキャタピラーを挙げ、中国へのエクスポージャーが限定的であることを指摘。またファスナルやWWグレンジャーなどの産業用供給品の流通業者には追加関税などのコスト増を価格に転嫁する実績が豊富だとした。
移民の取り締まり強化は逆風になる可能性があり、投資家も注視している。それでもコアシビックやジオ・グループなど民間刑務所運営会社のように恩恵を受け得る企業もある。
混迷深まる
一方、ウォール街の一部では、選挙後の特定の市場動向について疑問を呈する声も上がっている。
石油・ガス会社を含む伝統的なエネルギーセクターの株価は、トランプ氏の石油支持姿勢を反映し同氏の当選を受けて急伸した。しかし、業界ウォッチャーは、公有地での化石燃料採掘を増やすために規制を緩和する試みは供給過剰を引き起こし、価格を下落させるリスクがあると警告している。