「いいやつ」から「大親友」に。 カゴメ が目指す、記憶に残る「体験設計」の生み出し方
企業が顧客同士をつないでいくことが重要
DD:前の部署ではデータからいろいろな分析をされていたと思いますが、お客さまのリアルな意見はまったく違う質のものですよね。 細川:企業とお客さまという関係は成り立っていると思いますが、今後は「企業がお客さま同士をつないでいくこと」が重要だと考えています。たとえば冬場に収穫される人参をしぼった「冬しぼり」という商品があるのですが、お客さまと実際に畑に行き、収穫体験や工場見学なども行っています。 商品をこんなふうにアレンジしている、この部分が好き(自分だけだと思っていたが、ほかのお客さまも支持していてうれしい)といった企業視点では伝えられない商品のよさを伝え合う機会になっています。お客さま同士の会話から新しい発見が見つかったり、互いに共感しあうことで商品をより好きになる機会をつくれることが重要です。しかし拡散力という意味では課題があります。 DD:質よりも量を求めることもあると思いますが、そういった施策との融合は可能なのでしょうか。 細川:事業部のなかにはマス対応のグループもあり、より多くのお客さまにアプローチする施策はそちらで行っています。我々はお客さまとのつながりを大切にして、ファン化していくことをミッションとしています。 お客さまの発話を広告に活かしたり、自社以外のオンラインの売り場でどのような情報発信をすればお客さまが迷わず購入いただけるか、ということを担当部署と共有しながら進めています。 DD:デジタルマーケティング時代の経験は、現在の通販事業にどう活用しているのでしょう。 細川:単発の施策にするのではなく、継続性のある仕組みをつくること。事業部内のリソースだけでなく、全社のリソースを活用して効果を最大化すること。このあたりは機能部門に所属して長くマーケティングに携わってきていたからこそ、持っている視点だと思っています。 これまでの通販事業はある種の出島のような形で個別に動いていた印象を持っています。専門性が必要ですし、ある程度個別に動いた方が効率もよく、成長できていたからです。 ですが、今後通販の事業をさらに大きくしていくには、仕組みを作ることや全社のリソースを有効活用することは必須だと思っているので、私の経験を事業の成長に活かしたいと考えています。