「ロス五輪で金メダル目指す3人のボクシング人生を変えた」井上尚弥所属の大橋ジムと「Lemino」が岡澤セオン、原田周大のオリンピアンと“18歳の天才”片岡雷斗と異例のサポート契約
プロボクシングの大橋ジムとNTTdocomoの映像サービス「Lemino」がアマチュアボクシングの東京、パリ五輪の71キロ級代表の岡澤セオン(28、INSPA)、パリ五輪57キロ級代表の原田周大(23、専大)、2023年アジアユース・ジュニア選手権男子51キロ級金メダルの片岡雷斗(18、習志野高)の3選手とのサポート契約を締結したことが9日、横浜の大橋ジムで発表された。プロジムが練習環境だけでなく、月々の経済面のサポートや指導体制まで整えてサポートするのは極めて異例。3選手は最高の環境で4年後のロス五輪での金メダル獲得を狙う。 【映像】「井上尚弥を終わらせる」と豪語したラミレスが世界戦で6回棄権した衝撃シーン
異例のプロアマ合体だ。スーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥が所属して活気づく大橋ジムが「Lemino」とのタッグで2028年のロス五輪での金メダルを目指すアマチュアのトップボクサー3人をサポートする契約を結んだ。 発案者の大橋秀行会長が理由を明かす。 「横浜高、専修大のアマチュアボクシング時代があって、今の自分と大橋ジムがあると言っても過言じゃない。そのアマチュアボクシングに恩返しができないかと考えていた。アマとプロは違うが、やりようによってはもっと面白くなる。アマが(ファンに広く)認められれば、プロ、アマ関係なくボクシングが盛り上がる」 大橋会長自身も、40年前のロス五輪を目指し、最終選考会で敗れて、プロに転向したという経緯を持つ。ロス五輪とのつながりも不思議な縁だ。 会見に参加した3選手は、今後、練習拠点を大橋ジムへ移すことを明かした上で、感謝の言葉を並べた。大橋ジムから、最高のタイミングで、差し伸べられた救いの手が、それぞれのボクシング人生の転機になったという。 セオンの場合は、引退を翻意をするきっかけとなった。2021年の世界選手権の男子67キロ級で、54キロ級の坪井智也と共に史上初となる金メダルを獲得し、パリ五輪に金メダル候補として乗り込んだが、まさかの1回戦負け。しばらくボクシングから離れ、引退を考えたという。 「辞めようやめようと思って完全に何もしない時期もあった。28歳になるが、これまで働いたこともアルバイトしたこともなく社会に出たこともなかった。このまま野に放たれるのは、やばいと、スポンサーでお世話になっているINSPAさんに社会勉強さて欲しいとお願いし、鹿児島から東京に出てこようとしたが、納得できる練習場所がなかった。心からロス五輪で金メダルを目指すとは言えず、中途半端なら辞めようと」 そこで大橋会長に相談すると、サポートの話になり「この環境ならば、取れなかった金メダルを狙える」と、3度目の五輪出場となるロス五輪に最後の勝負をかける気持ちに切り替わった。 「これがラストチャンス。もっとアマチュアボクシングを大きくできる機会ももらった。結果を出して、大橋ジムとドコモさんのサポートでボクシング界が変わったと言われるようにしたい」 アマ時代からスパーリングで拳を交えてきたWBA世界スーパーライト級の指名挑戦権をゲットしている平岡アンディとは幼馴染。不思議な縁を感じるという。 専大4年の原田も、ボクシング部からの“卒業”を前に所属先も練習拠点も見つからず、宙ぶらりんの状態にあった。個人スポンサーを集めて活動資金とするセオンのパターンに挑戦しようかと模索していたが、専大の先輩である大橋会長から今回のサポートの話が舞い込んだ。 「本当にありがたかった。五輪までは、ほぼ毎日ここで練習させてもらう形になる。パリ五輪では悔しい思いをした。実力が足りなかったとわかった。井上尚弥さんらがいて、いい環境で練習をさせてもらっている。4年後の金メダルを目指して全力でできる」
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