【毎日書評】イエスを最短距離で引き出す「説得のコツ」。マインドセット次第で影響力は高まる
『頭のいい人だけが知っている説得力』(平田貴子 著、かんき出版)の著者が指摘しているように、どのような職種であれ、ビジネスパーソンの仕事の大半は「説得」かもしれません。 ビジネスでスピーディーに成果を出すためには、相手から「イエス」を最短距離で引き出すことが重要ですが、それはなかなか難しいこと。とくに日本企業は、いまだにいくつもの階層で構成されるピラミッド型の組織がマジョリティを占めており、フラットな状態を保つことはなかなか困難。そのため、説得も難しくなってしまうわけです。 とはいえ相手を説得できない原因は、そういった日本企業の階層型組織構造だけにあるのではなく、“説得の方法”にも問題がある場合が多いのだと著者は指摘しています。そして仕事内容に関係なく、説得できる人とできない人との違いは「『Yes Code』を知っているかどうか」にあるのだとか。 「Yes Code」とは、それを実行すれば、説得したい相手から簡単にイエスを引き出せる行動や考え方のこと。プログラミングでは、コードを入力してポチッとエンターキーを押せば、自動的にプログラムが動き始めますが、それと同じようなイメージです。「Yes Code」をわかっていれば、「これはイエスをもらえないだろうな……」というシチュエーションでも説得に成功するという最強のツールといってよいでしょう。(「まえがき」より) そんな「Yes Code」における重要なポイントは「感情」だそう。説得には「ロジカルに伝えることが大切」というようなイメージがあるかもしれませんが、それはほんの少ししか必要ないことであり、相手を説得するためにもっとも重要な要素は感情だというのです。 いいかえれば、相手の感情をゆさぶり、わしづかみにできるかどうかが説得の成功率を大きく左右するということ。それが、さまざまな現場での説得を経験してきた著者が導き出した結論であるわけです。 では、説得力を高めるためにはどのような考え方が必要なのでしょうか? その点を明らかにするために、第2章「『影響力』がないと、説得できない」のなかから「影響力を高める3つのマインドセット」に焦点を当ててみたいと思います。 ベースとなるマインドセットを持っていると、周囲から信頼されやすくなり、説得をする際でも話を聞き入れてもらいやすくなるというのです。