【毎日書評】イエスを最短距離で引き出す「説得のコツ」。マインドセット次第で影響力は高まる
マインドセット1. すべては自分の責任だと考える
仕事で自分の企画を通そうとしたものの、うまく通らない。あるいは、うまく説得し切れないというようなことはあるもの。 そんなときは、「もっとあの人が準備してくれたらよかったのに」「あの人が最初に説明してくれたら、もっといい資料をつくれたのに」「そのコネクションがあったなら、先に知らせてくれれば説明できたのに」というように、まわりの人や環境のせいにしがち。 しかもそういった他責思考は、口に出さなかったとしても漏れ出てしまうものでもあります。その結果、人間関係に影響を及ぼすことも考えられるでしょう。 「すべては自分の責任である」というマインドセットを持つことが大切です。 自分の責任だと考えるようにすると、説得に限らず、自分で仕事をコントロールできるようになります。(65ページより) なにかが起きたときに誰かのせいにしていると、あとから振り返った際、「自分ができることはなんだったのか」「改善点はなにか」ということが見えなくなってしまいます。改善できなければ、また同じような説得をしたときにもうまくいくはずはありません。 しかし、「なにが起こっても、それは自分の責任である」というマインドセットをしておけば、すべての改善点が見えてきて、どんどん成長できるようになるわけです。(64ページより)
マインドセット2. なにが真実かを見極める
トラブルが起きたときに大切なのは、「なにが真実なのかを見極める」意識を持つこと。このことを説明するにあたり、著者は通販会社で働き始めて間もないころの自身のエピソードを紹介しています。 台湾の会社とコラボレーションして商品を企画するため、台湾に出張したときのこと。 企画を提案するプレゼン資料を作成しようと思い、先輩に先方の情報を聞いたところ、戻ってきたのは「自分もあまり持っていない」という。さらに「適当にプレゼン資料、作っておいて」といわれたため、とりあえず自分の調べた範囲の情報で資料を作成したそう。先輩に見せたところ、「こんな感じでいいんじゃない」とのことだったため、そのままプレゼンに臨んだのだといいます。 ところが大方の予想どおり失敗に終わり、そればかりか企画が見当外れだったため、先方を怒らせてしまうことに。しかもあとから、先輩とその上司から「君のせいで失敗した」と怒られたというのです。自分たちは悪くないといいたいため、後輩である著者に責任を押しつけたかったということなのでしょう。 私の答えは、「それでも自分の責任だと考える必要がある」なのですが、もう一つ付け足したいことがあります。それは、「客観的に、何が真実なのかを見極めること」が重要だということです。嫌な言い方をされたという感情的な部分はいったん脇に置いておいて、このケースにおいて何が真実かといえば、「十分な情報がなかったこと」、そして、「私たちは先方の会社に何ができるのかという落とし込みが甘かったことです。(66~67ページより) もし先方や上司のせいにしていたら、なにも進歩しなかったかもしれません。それなら、次回からは自分がその点をきちんと押さえればいいだけのこと。そう考えれば、嫌な経験も糧にできるわけです。 つまり感情は脇に置き、なにが真実で、なにが足りなかったのかにフォーカスする。説得できるようになるためには、そういったマインドセットをする必要があるということです。(65ページより)