夢より現実?なぜプロ野球若手は引退後に「高校野球監督」でなく「一般就職」を希望するのか?
日本野球機構(NPB)は13日、10月に12球団の現役若手選手を対象にして行った「セカンドキャリアに関するアンケート」の結果を発表した。 NPBのセカンドキャリア問題に関するアンケートは2007年から行われているが、今回は、若手選手の意識に変化が見られた。「引退後にやってみたい仕事」の質問に対する答えの1位が「一般企業で会社員」となったのだ。これまで2012年の「飲食店開業」を除き、ずっとトップだった「高校野球の指導者」が4位に下がった。 アンケートは10月に宮崎で開催された教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」に参加した12球団の265人に対して行われ252人が回答、対象選手は平均年齢は23.5歳、平均プロ在籍年数は3.6年だった。 「引退後にやってみたい仕事」は、昨年7位だった「一般企業で会社員」が15.1%で1位、2位が「大学・社会人の指導者」の12.3%、3位が「社会人・クラブチームで現役続行」の11.5%、4位が「高校野球の指導者」の11.1%で、「海外球団で現役続行」の8.7%、「プロ野球の監督、コーチ等」の8.3%と続く。「プロ野球の監督、コーチ等」が5位以内に入らないのは、ここまでの調査で初だった。 プロ野球の若手選手のセカンドキャリアへの意識になぜ変化が生まれてきたのか? 名将、野村克也氏でさえ、「一度は監督をやってみたい」と語っていた「将来は高校野球監督」の理想像は、なぜ崩れてきたのか? 2010年の育成ドラフト7位で巨人に指名されたが1年で戦力外となり、現在、日本リアライズ株式会社のプロフェッショナル・セカンドキャリア・サポート事業部で選手の再就職のサポート事業を行っている川口寛人さん(33)は、今回のアンケート結果をこう分析している。 「長らく高校野球監督が1位でしたが、実際、就職率は高くありません。プロアマの関係が雪解けをして、教員資格がなくとも研修さえ受ければアマチュア資格が回復することになりましたが、実際には受け入れてもらえる学校の数はそう多くないのです。また就職ができても、よほどの強豪でないと給料もよくない。しかも、パワハラ問題などがクローズアップされてきて教える方のストレスも高くなった。“好きなことをやりたい”“やりがいを感じたい”というのはプロ野球のセカンドキャリアで成功する重要な要素ですが、そこに職場環境、給与面での満足度がないと生涯の職業として長続きしません。プロ野球の監督、コーチ等の人気が落ちたのも、狭き門であると同時に、一度コーチになったところで、その後を考えると安定していないからです。最近の若い選手は、いろんな情報を手にできるようになって、より現実的に将来を考えるようになっているんじゃないでしょうか」 NPBが今年5月に発表した昨年度の戦力外、引退選手126名のその後の進路の追跡調査によると、再契約、コーチ、球団職員などの形でNPBに残った選手が62人(49%)。BCリーグや社会人、解説者などにも26人(21%)が進み、計70%が野球関連の仕事に就くことができたが、高校野球、或いは大学野球の監督、コーチになった人はゼロだった。