「リュックを背負って次の教室に」デジタル・シティズンシップ教育の最先端“自由と協働”目指すドルトンの学びとは ドルトン東京学園
生成AIとの壁打ちでより質の高いものを創る
2019年に開学したドルトンは、2022年9月にSTEAM棟を竣工した。ここではアート、テクノロジーから、サイエンスまで様々な分野の設備が完備されている。 STEAM棟では高等部1年生を対象に「AI予測の評価」の授業が行われていた。生徒たちが学習させたAIの予測が、実際とどの程度乖離するかを評価するというものだ。 情報担当の先生は、生徒たちに「これがマシンラーニングです。なぜ予測は外れたのか、この1回で終えず続けて考えてみましょう」と継続的な学びの大切さを訴えた。 生成AIについて生徒たちの関心は高く、ドルトンでは保護者の許諾を得たうえで、一部の授業で活用を始めている。 「AIに対して不安を感じている生徒もいます。その感覚も大事にしながらも、今後インターネットと同じ感覚でAIを使う時代に備える必要があると思います。インターネットでは安易な検索だと一部の情報しか出てきません。同じように生成AIも短いプロンプトで出てきた回答だけを信じて使うのではなく、自分の活動をメタ認知するためにAIと壁打ちをしていけば、より質の高いものを作れるようになると考えています」(西澤先生)
リュックを背負って次の教室に移動する
校内を取材していると、授業を終えた生徒たちがリュックを背負って廊下を歩いているところに出会った。 理由を安居長敏校長に聞くと「生徒は自分が選んだ教科の授業を受けるため、次の教室に移動しているのです」と語った。 ドルトンでは生徒たちが、主体的に学ぶ姿勢を育む環境づくりを行っている。その柱の1つが生徒の学びをサポートする「アサインメント」という制度だ。 「アサインメント」は、生徒に各科目の学習目的や到達目標、学習の流れ、評価方法などを示す、いわば「学びの羅針盤」だ。授業の中で各単元の学習が始まる前に提示・説明され、同時にいつでも見られるようにネットワーク上にある。 「アサインメント」によって生徒は、自分の学びの意義や目的を理解し、ゴールまでの道のりを見通し、自分に合った学習計画を立てることができるのだ。