「仕事だけはちゃんとするから、ほかは甘やかして」 家族にも仕事にも依存しない、田中圭の愛され力
そんな田中にとって、家庭はどんな場所か。 「家は、とても普通です。当たり前に自分が帰る場所というか、穴に住んでいたとして、“穴”です。妻は、“相棒”のような存在です。僕にとって、一番の親友は妻だとずっと思っています。さらに10年も経つと親友を超えて、相棒みたいになってくるんです。一番近いのは、漫画『ONE PIECE』の、ルフィとゾロかな。暗黙の了解で信頼し合っている、みたいな感じです」 今年で37歳、現在2人の子どもがいる。自身は母一人、子一人で育った。溺愛されたというが、その母を数年前に病気で亡くしている。 「亡くなった母ちゃんは、『総理の夫』で余貴美子さんが演じた母親役にすごく似たタイプ。とにかくパワフルで、強かった。人を笑わせたり、おしゃべりしたりするのが好きで。……母が亡くなったことも、確かに自分の考え方に影響していると思います。一生一緒だよ、なんて言ったって、別れがくることもあるじゃないですか。もちろん、別れないことだってあるし。家族も仕事も、なくなっちゃったらなくなったでしょうがない。実際になくなっちゃったら相当困るとは思いますが(笑)。妻も同じようなタイプで、その時になってみないとわかんないよね、って。今できることを精いっぱいやっておけば、どんな結末にも後悔することはないという感覚。これは共有できていると思う」 自分が最大限やったことの結果は、全て潔く受け入れる。そうしなければ次に進めないし、固執してほかのものが見えなくなる。それが嫌なのだ、と田中は言う。
仕事以外は甘やかして
コロナ禍で、家族との関係に変化はあったのか。 「これまでは仕事でほとんど家にいなくて、彼女らはほぼ3人家族みたいな感じでした。今は、家族と一緒にいられることが単純にうれしい。僕は寝ていることも多いですけど、コミュニケーションをとる時間は断然増えました。もうびっくりするくらい、毎日僕にくっついてくるんです」 何にも固執はしない、そう言いつつも、やはり子どもたちの話になると、表情が緩んだ。娘たちにどう成長してほしいかという問いには、「健康で、人に優しく、いつも笑っていてほしい」と答えた。 自身は関東でトップクラスの中高一貫私立校出身だ。小学生の頃は、勉強ばかりしていたという。しかし大学には進学せず、俳優という道を選んだ。 「同級生で大学へ行かなかったのは、たぶん僕だけだから、珍しい進路です。でも、きちんと勉強していたら、僕も大学に行っています(笑)。小学生の頃からバスケットボールをやっていて、中学ではバスケ漬けだったので、高校では落ちこぼれて、もうカス漬けです。勉強は手遅れだし、バスケもけがして引退して、うわ、何もないじゃん、っていうときに、芸能の世界に出合いました。この仕事で食べていけるなんて全然思ってないときから、よし、俺はこれで大学受験をやめようと思って」 家族のこともありのままに話す。田中はとにかく、自然体だ。人とは、なるべく「素」で接するようにしている。人によって態度を変えることも、どう見られたいという欲もないという。