1ストップでモンツァ勝利のルクレール、鍵は左フロントタイヤの管理。「終盤はグラスタ見ちゃった」とも
フェラーリのシャルル・ルクレールは、チームの地元イタリアGPで1ストップ戦略で走り切る好戦略を見事成功させて勝利。レースを振り返ったルクレールは、左フロントタイヤの扱いに集中していたと語った。 【フォトギャラリー】フェラーリF1歴代全マシン(1950年~) ルクレールは4番グリッドからスタート。1周目に2番手まで上がると、その後は首位を行くオスカー・ピアストリ(マクラーレン)を追いかけた。 当初ルクレールは1秒差以内に食らいついていたものの、ピアストリがペースを上げると徐々に遅れ始め、ここで勝負あったかのように思われた。しかしルクレールとそのチームメイトであるカルロス・サインツJr.は、ライバルのマクラーレン勢が2ストップ作戦を採る中、1ストップで走り切ることに賭けた。マクラーレン勢が猛追し、サインツJr.は攻略されてしまったものの、ルクレールはコンスタントにペースを落とすことなく走り切り、自身の母国戦であるモナコGPに続き、今季2勝目を挙げた。 ルクレールの第2スティントのペースは、1分23秒台で非常に安定していた。この安定した走りについて尋ねられたルクレールは、左フロントタイヤのグレイニング(ささくれ摩耗)がひどくならないように集中する必要があったと語った。 フェラーリの非常にダウンフォースの低い“モンツァスペシャル”なリヤウイングは、グレイニングを抑えるマシンバランスを実現した要因のひとつだ。 そしてモンツァでは、最も速く長いコーナーであるレズモ2、アスカリ、アルボレート(旧パラボリカ)で左フロントタイヤのグレイニングからアンダーステア傾向となりがちだが、ルクレールはあまりハードにプッシュせずに済ませてタイヤを生かす必要があった。 「グレイニングが少しあることは分かっていたから、これ以上悪化させたくなかったんだ」 ルクレールはそう語る。 「そうしなければ、僕はこのレースで負けてしまうだろうと分かっていた」 「ハードタイヤをマシンに履いたときから、それが唯一の焦点だったんだ。グレイニングをひどくしないことが重要だと理解していた。そして、とてもいい仕事ができた」 「前が開けたらすぐに、僕はマシンバランスを少し変化させて、リヤタイヤにより負荷をかけることができた。それがまさに僕のやりたいことだったんだ。バランスを変えるとすぐにペースが戻ってきたように感じたよ」 なおルクレールはレース終盤の走りについてはこうも語った。 「(モンツァで初優勝した)2019年のように、最後の5周はコースを見続けるのが凄く大変だったね」 「つまり、ちょっとグランドスタンドを見ていたんだ」 「皆がスタンドで立ち上がっているのが見えたし、素晴らしい景色だった」 「2019年には、お母さんもグランドスタンドにいたのを思い出すよ。パドックパスを渡してあげられなかったんだ。でも今年はお母さんにパドックパスを渡せたから良かった。グランドスタンドとパドックパス、2ヵ所での経験をさせてあげられたね」 「とても特別なフィーリングだった。ある場所では赤いスモークが焚かれているのも見えたし、皆がとても興奮しているのが分かった。ただオスカーのペースが本当に良かったから、僕も集中して、この仕事を終わらせる必要があったことは分かっていた」 「最後の5~6周は勝てると思っていた。タイヤの感触は良かったし、オスカーは僕がミスをしない限り、フィニッシュまでに僕を追いつくほどではないと分かっていたからね」
Alex Kalinauckas