「えっ、飛行機に乗る前に体重を申告!?」“日本最南端”の「国内線航路」ってどんな感じ? 15年ぶりに復活した航空路線とは
乗客が体重を申告しなければならない理由
さて、このフライトの予約はインターネットか、電話で行います。その際に必ず知らせなければいけないのは体重です。 意外に思うかもしれませんが、飛行機は離発着時の重量バランスがとても重要で、特に小型機の場合は体重の重い人を機体の中心に持ってくる必要が出てきます。この関係もあって搭乗者が席を事前指定することは原則できません。 また、体重はほとんどが自己申告で済みますが、見るからに偽った申告をすると体重計に乗るよう指示されるかもしれません。なので、正直に申告しましょう。
預ける手荷物も重量に制限が設けられています。一人2個まで無料で預けることができますが、その重さは合計10kg(実測)、3辺の和が150cm以内(1個あたり)までとなります。一方、10kgを超える場合は1kg超えるごとに300円が別途発生し、その場合でも上限は一人15kgまで。ただし、仮に二人乗車の場合は合計で30kgまで預けられる計算になるということです。 また、機内に持ち込める荷物は各自1個・2kgまでで、3辺の和が80cm以内、かつ1辺が最大35cm以内とされています。スリングバッグは大丈夫だけど、リュックは持ち込めないと思った方がいいでしょう。 チェックインカウンターで手続きを終えると、重量バランスを計算した上で決められた座席番号がタグが一人ずつに渡されます。それを首からぶら下げ、その後はセキュリティゲートをくぐりますがが、X線検査機がないため、機内持込手荷物は中を開いて係員に確認してもらうことになります。 そして、搭乗待合室では安全運航のためのビデオを全員で見た後、ここからマイクロバスに乗って駐機場へ移動していよいよ搭乗です。 ●高度300~350mの有視界飛行で沖縄の海を空から堪能できる タラップを使って、機内へは腰を少しかがめて乗り込みます。座席配列は右側2席/左側1席で定員は19名。しかし、波照間空港の滑走路は800mしかないため、離着陸を考慮すると乗客は原則13名(一人70kgで計算)までに制限されています。 ただ、この日は体重が軽い子どもが数名いたことからトータルの重量を計算して15名の乗客を乗せ、これに加えて客室乗務員2名が搭乗して出発することになりました。 席に座るとおしぼりが配られました。席に座って感動したのは、コックピットに扉はなく、フルで見えるようになっていたことです。 普段乗る旅客機では、コックピットの扉はロックされていてこんな光景を見ることはまずありません。これだけでもテンションは大いに上がります。 プロペラが回り始めると、ツインオッターは機体をブルブルと振るわせながらゆっくりと滑走路へと向かい始めました。 滑走路へ出るとパイロットからは離陸することが告げられましたが、普段と違うのは離陸するまでのパイロットの一挙手一投足がすべて見られることです。プロペラの回転を上げ、離陸するまでの様子が直に見られるのは滅多にあることではありません。そして、機体はプロペラ機特有の「ブォーン」という音と共に速度を上げ、機体は石垣島を後にして飛び立ちました。 波照間島へのフライトでは高度が300~350mの有視界飛行となります。そのため眼下には沖縄の美しいエメラルドグリーンをじっくりと堪能しながら過ごせるのがポイント。また、波照間島までを直線で向かえば20分程度で着いてしまいますが、パイロットによれば「状況が許す限り島の上空も飛んで、皆さんにフライトを楽しんでもらえるよう心がけています」とのこと。こうした配慮があるのも嬉しいですね。 フライト中は遠くに竹富島を見ながら、黒島、新城(あらぐすく)島を眼下に捉えることができました。 黒島では放射状に伸びる牧草地帯が広がり、“牛の島”であることが空から確認することができました。そして、波照間島上空に来るとすぐには空港に着陸せず、右手に島を一望できる状態で周回してから改めて空港に向かうこととなったのです。 そして、フライト最後の見せ場が波照間空港へのアプローチです。コックピット越しに見通せるため、徐々に近づいてくる滑走路もまさにパイロット目線で見られるのです。着陸までの機長と副機長のやり取りも伝わってくるので臨場感たっぷり。着陸する際はプロペラを逆回転させる操作までもはっきりと見ることができました。これで高めと思っていた運賃も、しっかり回収できた気持ちとなったのは確かです。
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