元金融機関社員が見た、「新興富裕層」ではない「伝統的な富裕層」に見られる4つの特徴…住まい・乗り物・お付き合いがいずれも意外に質素
日本の富裕層が増えた3つの背景
それでは、なぜ日本で富裕層が増え続けているのでしょうか。 続いてその背景について見て行きましょう。 日本で富裕層が増え続けている理由として、様々な要因が考えられますが、今回は以下のような要因をあげてみます。 ●【背景1】国内外の株価上昇 皆さんもご承知の通り米国の株式市場は長期的に堅調に推移し、ダウ工業平均株価やS&P500といった株価指数は、でこぼこはありながらも長期的に上昇トレンドとなっていました。 また、米国だけではなく、世界的な株高が継続してきたという背景もあるかと思います。 富裕層はそうでない世帯と比較して一般的に株式の保有額やその比率が高いことから、株式市場の環境が資産額の増減に影響を及ぼします。 したがって、世界的な株高の背景は最も大きな背景としてあげられるでしょう。 ●【背景2】非課税枠のある投資制度の充実による資産形成機会の拡大 また、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度の登場も無視はできません。旧NISAは以前からありましたが、やはり多くの人が投資を始めたきっかけというと、2018年にはじまった「つみたてNISA」は多いのではないでしょうか。 NISA制度は2024年より「新しいNISA(いわゆる新NISA)」として展開されています。10年近い期間を経て、こうした非課税枠のある投資制度の拡充により、個人が資産形成に関わる機会は増えてきました。 10年前に投資に興味がなかった人も、NISAなどの制度をきっかけとして証券投資をはじめたという人は多かったのではないでしょうか。先ほども指摘した通り、世界的に株価はこれまで長期にわたり上昇傾向にあり、早い段階で資産形成を始めた人ならば相応の利益が出ていることが推測できます。 ●【背景3】相続や贈与によるもの 富裕層になった人のなかには、相続や贈与から多額の資金を手に入れた人もいるでしょう。 高齢化が進む日本では、親などから資産を受け継ぐ人が増え、結果として富裕層の数が増えている可能性もあります。 一般的な家庭であっても「遺産分割で祖父母の遺産を継いだ」という人も少なくありません。 こういった株式市場の好調さ、資産形成の機会拡大、また人口動態の変化などが、富裕層の増加に寄与した可能性があります。結果として、本人の意図しないところで富裕層の仲間入りを果たした、という人もいるでしょう。