トランプ氏側近、人事の口利き見返りに賄賂要求か 内部調査で発覚
米CNNは25日、トランプ次期大統領の側近のボリス・エプスタイン氏が人事の口利きの見返りに賄賂を要求した疑いがあると報じた。トランプ氏の弁護士らによる内部調査で発覚した。エプスタイン氏は米紙ニューヨーク・タイムズに「政権移行期間で最も力のある人物の一人」と報じられていた。 報道によると、エプスタイン氏は次期政権の高官ポストの口利きや次期政権幹部とのパイプ作りを持ちかけ、金銭的な見返りを要求した。月10万ドル(約1540万円)を要求した例もあり、財務長官候補に選ばれたスコット・ベッセント氏も金銭を要求されていたという。 ベッセント氏は支払いに応じず、政権移行作業の拠点となっている南部フロリダ州のトランプ氏の自宅で、エプスタイン氏と口論になっていたという。こうした言動が政権移行チーム内で問題化し、トランプ氏の弁護士らが内部調査を始めた。 内部調査チームはトランプ氏に対して、エプスタイン氏を遠ざけて、政権移行に関与させないよう求める暫定的な提言をまとめた。エプスタイン氏はCNNに対して「こうした申し立ては虚偽で、中傷にあたる」と疑惑を否定しているという。 エプスタイン氏は弁護士で、第1次政権時代の2017年に大統領特別補佐官を務めた。20年大統領選でのトランプ氏の敗北を覆す工作にも関わり、西部アリゾナ州で詐欺などの罪で起訴された。今回の大統領選でもトランプ氏を支援し、法律事務所には広報や法律顧問の名目で毎月5万3500ドル(約824万円)が支払われていたという。 エプスタイン氏はトランプ氏が当選すると、政権移行でも発言力を持ってきた。ただ司法長官候補に推薦したマット・ゲーツ元連邦下院議員は、過去のスキャンダルが問題視され、自ら指名を辞退。さらにトランプ氏と急接近する実業家のイーロン・マスク氏と意見が対立する場面もあったとされる。【ワシントン秋山信一】