「夫と同じお墓は嫌だ」「妻と犬を一緒に納骨してあげたい」大愚和尚が答える、お墓との向き合い方
◆ペットと同じお墓に入りたい 飼い主さんと同じお墓にペットの遺骨を納骨することは法律では禁じられていません。ただ先祖代々のお墓など他の親族の遺骨が納められている場合には、遺族から理解を得られないというケースが多いようです。 「うちの親は動物が嫌いだったから」ということもあるかもしれませんが、仏教の考える死後の世界「六道」の中に「畜生道」というものがあり、「行いが悪いと死後に畜生道へ行くことになるぞ」といった使われ方をするので、人間と同じお墓にペットを入れることを良しとしない人がいるのではないかと思います。 けれどペットを愛する人にとってペットは家族。場合によっては肉親を超えるという方も少なくありません。 昔から犬や猫を可愛がっていた人はたくさんいたわけですが、昨今ではペット命という方が増えました。 核家族化と無関係ではないように思います。多くの方が寂しさを癒やしてくれるペットの存在にどれほど救われたかしれないとおっしゃいます。 そうした方が大切な家族と同じお墓に入りたいと望まれても不思議ではないと私は思うのです。
◆安心して旅立つことができるなら あるご夫婦には子どもがなく、犬を我が子のように可愛がっていたということですが、その犬が死に、その後、奥さんががんで余命を宣告されました。 その折にご主人が私のところへみえて、「妻と犬を同じお墓で眠らせてあげたい、そのことを妻に伝えることができたら安心して旅立つことができるだろうと思うのです」とおっしゃいました。 「妻は安心して旅立った」と思うことが遺されたご主人の心を癒やすことにつながるのなら、お断りする理由はありません。そこで納骨堂や樹木葬を通じて永代供養をなさることをお勧めしました。 合祀ではない個別のお墓であれば問題はないと私は考えています。まだまだ少ないとはいえ個別のお墓は増えています。 ペットについての考え方は宗派ではなく住職によって異なるので、一度、お寺を訪ねて住職に相談してみてはいかがでしょうか。 ※本稿は、『心が整うおみおくり-残された人がよく生きるための葬儀・お墓・供養のこと』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
大愚元勝