「子どもは作らない」と決めているけど… 30代女性が『進撃の巨人』を大泣きしながら見て考えたこと
少子高齢化が叫ばれて久しい日本社会。合計特殊出生率は1.20まで落ち込み、日本の将来に暗い影を落としている。そんな今こそ耳を傾けたいのが“産みたくない”と考える女性たち当事者の言葉かもしれない。30代を迎えたばかりのライター・月岡ツキ氏は、「どうして産みたいと思えないのか」「どうして産みたくないと言い切れないのか」を日々、自問自答しているのだという。そんなある日、人気アニメ『進撃の巨人』の最終回を見た月岡氏は――。 【写真を見る】自身も「産みたくない」当事者である、ライターの月岡ツキ氏 (前後編の前編) *** ※この記事は『産む気もないのに生理かよ!』(月岡ツキ著、飛鳥新社)の内容をもとに、一部を抜粋/編集してお伝えしています。
アニメや漫画の定番となっている「親子の継承の物語」
映画やドラマを見ていて、感情移入したキャラクターに子供がいる。もしくはこれから子供を持つことになると分かると、自分とそのキャラクターのあいだに一枚薄いカーテンがかかるような気がする。(あ、そっちなのね)と心が半歩下がる。 ストーリーの重要なテーマが親子愛であったり、子供を育てることで得られる人間的成長であったり、はたまた親から子へ受け継がれる力や因縁だったりするパターンはとても多い。「ある日突然能力に目覚めた主人公。実は親から受け継いだ特別な力が自分にも眠っていたのだ」的なアレである。 私が好きなアニメや漫画の作品、たとえば『美少女戦士セーラームーン』も『ジョジョの奇妙な冒険』も『進撃の巨人』も「親子の継承の物語」という側面を持っている。 そういった物語に感動するたび、子孫を残さず特に何も次世代へ継承しないで終わるであろう私の人生は、この素晴らしい物語が教えてくれたことを否定するものなのかもなあと思えて、少し寂しい。いや、けっこう寂しい。 物語を発展させるためには、キャラクターの親や子との関係を描くのが手っ取り早いし、誰しも人の子なので広く共感が得やすいのだろう。親や子供を描くことでより主人公を取り巻く世界が広がっていくし、主人公の子供が次の主人公となってシリーズが続くパターンもある。それを見て、人は「続いていく人間の営み」とその素晴らしさを感じるのだ。実際の人生と同じように。 しかし、私のような子供を持つ気がない人間は、そういう物語に触れて感動はするものの、ちょっと所在ないような気持ちになったりもする。漫画連載中から大好きな『進撃の巨人』のアニメの最終回を見て、数週間のあいだ余韻に浸っているとき、「私も子孫を残したほうがいいんじゃないか」という考えが頭をよぎったことがあった。