寝ない人は短命!? アリの生態には「働き方を見なおして幸せになるヒント」がつまっていた
どちらの社会に幸せを感じるか?
しかし、ハキリアリのコロニー全体の寿命(≒女王アリの寿命)は10~15年。最長で20年ととても長い。短命の働きアリが膨大な数存在することで巨大なコロニーがこんなにも長期間維持される。 他方で、ハキリアリと同じキノコアリの仲間でも、起源に近いムカシキノコアリ(ハナビロキノコアリ)だと「まったく働かないアリ」の割合は30%にものぼる。観察していると、ほとんど動いていない印象だ。ただ、ちゃんとキノコ畑は維持できている。 幼虫はキノコ畑に埋もれていて、体表面に生えた菌糸のうち自分の口まで生えてきたものを自分で食べる。 働きアリたちはほとんど幼虫のお世話をしない。これは唯一例外的に子育てをしない真社会性昆虫と言っていいだろう。おそらく、幼虫の世話がキノコ畑の世話に置き換わってしまったものと僕は推測している。 過労死するアリが支える超巨大社会と、ゆっくりのんびり自由に、適当にサボりながら全員が長生きする小さな社会、どちらもこの地球上の仕組みとしては適応的だ。さて、僕らはいったいどっちに幸せを感じるだろうか? 僕自身が共感するのは、やっぱりムカシキノコアリのほうだ。みんな自由でサボりながら長生きする社会がいいなぁ。 文/村上貴弘 構成/週刊SPA!編集部
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