思い出のオーデマ ピゲと、出会いを引き寄せるフランク ミュラー、ロレックス……
お洒落な男性なら誰もがステキな時計を持っているものです。そこでこだわり男子に、こっそり愛用時計にまつわるエピソードをインタビュー。実に興味深いお話がアレコレと飛び出します。 通なオトナの愛用時計
建築と時計には共通するエッセンスがある
高名な建築家として、これまでに様々な作品を世界各地で作り上げてきた丹下憲孝さん。そう、国立代々木競技場の体育館を設計した丹下憲三さんを父にもち、そして“株式会社 丹下都市建築設計”を率いるエグゼクティブです。 その丹下憲孝さんが手掛けた著名な建物と言えば、フジテレビ本社ビルやモード学園のコクーンタワー、それにザ・プリンス パークタワー東京など、気宇壮大にして美しくその土地のランドマークとなる建物ばかり。 そしてご自身は、日常的に英国的なテーラードスタイルにて仕事に向うことで知られるウェルドレッサーです。そんな人物が着こなしのランドマークとなる時計に興味を持たないワケがありません。ご他聞に漏れず、感度の高い時計をあれこれ楽しむ素敵なウォッチ・ジェントルマンであるのです。 運良く今回は、レジェンドクリエイターが愛用する秘蔵コレクションを、特別に見せていただくことができました。
そもそも、丹下さんはどのような経緯で時計を愛用するようになったのでしょう。 「間違いなく祖父の時計好きが起点になっているように思います。僕の祖父は懐中時計のミニッツリピーターを愛用するほどの時計好き。また、当時は自宅の方々に時計を置いており、一日の始まりは時報放送に合わせ、自ら家中の時計の巻き上げとセッティングを行うような人でした。 そしてその血は(憲孝さんの)父親にも引き継がれ、色々な時計のコレクションを側で見てきました。 父との時計にまつわる思い出といえば、シンガポールでの出来事でしょうか。父は当時シンガポールの首相であったリー・クアンユーさんと昵懇であり、その関係からシンシア(シンシア ファイン ウォッチ)という時計店をよく訪れていました。 ある仕事の時に僕もシンガポールまで帯同し、空いた時間に父とシンシアを覗きに行きました。恐らく自分だけ購入するのが気掛かりだったのでしょう(笑)。『なんか欲しいものあるか?』と聞かれたことを今でも覚えています」