顧客セグメントを一定期間固定化するメリットとは? チームスポーツと進学校の例に学ぶ企画やアプローチを最大化する方法
企画やアプローチには理由や目標売上があり、そのためには対象顧客を抽出することが重要――これが当たり前だと考えている人は多いのではないでしょうか。けれど、毎回過去の実績を見ながら試行錯誤するなかで、「企画の度に対象の顧客を抽出するのは面倒」「その時間を企画や制作の時間に充てられたら」と思ったことはありませんか? こう考えている担当者の方には、セグメントした顧客を一定期間固定化することお勧めします。毎回企画に合わせて顧客を抽出していた時間を別の作業に充てられるほか、何よりもCRMの観点で見た場合により大きなメリットを発揮できます。それはどのような方法なのか、解説していきます。
チームスポーツと進学校の例に見るセグメントの重要性
日本が優勝した2023年3月の「World Baseball Classic(ワールド ベースボール クラシック)」。この時のスターティングメンバーは優勝までの7試合、1番センターのラーズ・ヌートバー選手から6番ファーストの岡本和真選手まで、ほぼメンバーを固定して戦っています。
これは、監督以下首脳陣が出塁率、走力、打率、長打力、打点率、犠打率、守備力など、各種指標をもとにスタメンを決めているのでしょう。野球に限らず、バレーボール、サッカー、ラグビー、バスケットボールなどチームスポーツの世界では同じようなデータに基づいたメンバー決定が行われ、スタメンと控えの選手では出場時間に大きな差が生まれています。 また、進学に力を入れている学校はどうでしょうか。学生の能力によってクラス分けをし、目標に合わせた最適な学習の機会を提供する学校が増えていると聞きます(もちろんそのようなクラス分けをしていない学校もあります)。会社でも能力の高い人材、期待値の高い人材には成果の大きい仕事を任せるケースが多いのではないでしょうか。 スポーツも受験も会社も、成果を最大化するために実績を識別し、継続した機会を用意することが合理的だと考えているのではないでしょうか。スポーツにはシーズンがあり、学業には学期がある。この期間中の各選手や生徒の能力を正しく評価し、メンバー選定やクラス分けしていると考えられます。 これをCRMマーケティングに適用したどうなるでしょうか? ■ 評価期間はどのくらいにすれば良い? 顧客グループにあたるセグメントを固定するために、ある一定期間における顧客購買動向を確認する必要があります。大切なのが、評価期間です。スポーツで言えばシーズン中の業績でスタメンが決まり、選手個人としては年俸が決まります。学業では、各テスト結果の積み上げ、学期や学年のタイミングでクラス替えをします。 小売りの場合、販売商品によって異なりますが、季節によって消費者が必要とするタイミングが変わります。評価期間は3か月では短すぎ、1年では長いと言えます。お勧めは半年間、顧客のグループを固定すること。6か月という期間のなかで各顧客のLTVを最大化するために、どのようにセグメントごとの顧客にアプローチするか、シナリオを立てた企画が組みやすくなるでしょう。 ■ セグメントを決める3つの指標 顧客を正しく識別するためには、定めた評価期間のなかで「継続率」「購買力」「購入間隔」の3つを大きな指標にすると良いでしょう。 □ 顧客の継続率