念願の2億円タワマン購入→3年で泣く泣く手放す夫婦の末路…妻の金銭感覚が狂った恐怖の朝食メニュー
■夫妻の家計を襲った「2つの危機」 冷静に考えれば、最初から無理があったわけですが、念願のタワーマンションを購入したAさん一家は、新居での暮らしを大いに楽しんだことも事実です。マンション内には居住者用のジムやプールがあり、夫は「いつでも体を動かせるから最高!」と思っていたし、子どもたちも「泳ぎたくなったらすぐにプールに行ける」と大喜びしていたそうです。時間が経過するにつれて、最初の感動は薄れていったものの、生活は快適で、セレブの仲間入りをしたような感覚は、Aさん夫妻の心を満たしてくれたでしょう。 ただし、そんな生活が続いたのは1年ほど。Aさん夫妻の家計に2つの危機が同時に襲いかかりました。修繕積立金・管理費の値上げと物価高騰です。 そもそも20階以上あるタワマンは、一般のマンションに比べて、修繕積立金がやや高いです。プールやジムなどの共用施設があることに加え、大規模修繕を行う際には、建物の外側に足場を組むことができません。屋上からゴンドラをぶら下げて外壁の補修などを行うことになるため、費用がかさむのです。 Aさん夫妻が購入したタワマンは、住み始めた翌年に築15年を迎え、大規模修繕を行うことになりました。おそらく、マンションが新築当初の予想以上に劣化していることが判明したのでしょう。このままでは次回の大規模修繕でも資金が不足するのは明らかです。結果、修繕積立金を月額5000円増額することになり、月額負担は1万5000円から2万円に変更されたそうです。 実は、最近のタワーマンションは、最初から修繕積立金の増額を予定していることも多いです。そもそも修繕積立金には「均等積立方式」と「段階増額積立方式」があります。「均等積立方式」は長期の修繕積立計画を立てて、必要な資金を毎月一定で均等に所有者から集めていく方法。一方で「段階増額積立方式」は、当初の負担は少なくして、徐々に金額を引き上げていく方法です。「段階増額積立方式」は、分譲当初の金額を抑えることができるため、購入者が負担を感じにくく、採用するマンションも多いのです。 さらに管理費も値上げされました。そもそも2万5000円と高額でしたが、さらに1万円増額され、毎月3万5000円の負担に。原因は、昨今の人件費高騰です。タワーマンションには、管理人のほかにコンシェルジュが常駐しているケースが多いです。宅配便の受け取りやタクシーの手配など、さまざまなサービスを提供してくれます。子どもが学校から帰ってきたときにもコンシェルジュがいてくれれば、安心感も大きいはず。しかし、その分、負担も大きくなります。結果的にAさん夫妻は、修繕積立金と管理費の値上げで月額4万円の負担が5万5000円に増額されることに。住宅ローンの返済で背伸びをしていた家計には、大きなダメージです。 ■不動産会社の回答は「2億円で売却は難しい」 同じ時期に物価高も襲ってきました。世帯年収3000万円と聞くと、さぞかし余裕のある生活をしているように感じるかもしれませんが、実際にはそれほどでもないです。年収が高くなっても、税金や社会保険料などを差し引くと、手取り額はそれほど増えません。にもかかわらず、Aさん夫妻の生活費はタワーマンションに引っ越してから徐々に上がっていました。湾岸地域には数多くタワマンが立ち並び、多くの高額所得者が住んでいるため、食品を売るスーパーマーケットには、高級食材ばかり並んでいます。Aさん夫妻もそんな環境で暮らすうちに、いつのまにか生活水準が上がってしまっていました。金銭感覚がマヒしていき、シャインマスカットを朝食用に毎日購入してしまうほどに……。それだけでも食費の負担が大幅に増えていましたが、相次ぐ食品の値上げがそれに拍車をかけました。Aさん夫妻の懐事情は一気に苦しくなったのでした。