念願の2億円タワマン購入→3年で泣く泣く手放す夫婦の末路…妻の金銭感覚が狂った恐怖の朝食メニュー
■なぜ若い夫婦ほど背伸びをしてしまうのか 若くて勢いがあるパワーカップルはAさん夫妻のように「勢い任せ」で住宅ローンを組んでしまいがちです。特に外資系企業に勤める人や医師などの超高所得層には、「今の年収が今後も続く」「まだまだアップする」と考えている人が多いように思います。だからこそ「少しくらい背伸びをしても問題ない」と過信してしまうのでしょう。実際には、そう甘くはありません。国内企業ならまだしも、外資系は簡単に解雇もありえます。超高所得をキープできる保証などどこにもないのです。 また、最近は若くしてタワーマンションを購入する人の相談を受けることもありますが、驚くことに頭金をほとんど用意していない人たちが少なくありません。就職してからの期間がまだ短いために、十分な貯蓄ができていない面もあるのでしょうが、頭金がほとんどなくても住宅ローンの借り入れができることにも大きな問題があると、私は思います。これは高所得者に限ったことではなく、普通にマイホームを買う人も同じです。リクルートの「首都圏新築マンション契約者動向調査」(2023年)によりますと、自己資金ゼロの人の割合は17.7%で5%未満の人は24%。両者を合わせると4割以上の人が自己資金5%未満で購入していることになります。特に既婚で共働き世帯の自己資金比率が低い傾向にあるようです。 Aさん夫妻も2億円強のマンション価格に対して、用意した頭金は2000万円。1割に満たない金額です。残りは35年返済の住宅ローンでやりくりすることにしました。 「2億円近い金額を住宅ローンで借りられるのか?」と考える人もいるでしょう。しかし、現実に世帯年収が3000万円あれば、銀行は2億円程度の資金をポンと貸してくれます。だからこそ「銀行が貸してくれるならきっと大丈夫」と考えてしまう人もいるわけですが、35年間、本当に返済を続けられるかどうか、銀行は考えてくれません。借り入れを相談した「その時」の勤務先や年収から融資額を導き出しているにすぎないのです。 ■「退職金でローン完済」はあまりに危険な選択 本人の見込みも甘すぎると感じました。仮に36歳で35年返済ローンを組んだ場合、完済は71歳となる。そこで多くの人は「定年の時点で残債があれば、退職金で完済すればいい」と考えてしまいます。しかし、定年まで同じ会社で働いているとは限りません。転職すれば年収が下がるかもしれないし、退職金の見込み額が大きく減ってしまうこともあるでしょう。住宅ローンの返済が不能になれば、金融機関は担保物件であるマイホームを競売にかけて、資金を回収しようとします。売ったお金で住宅ローンの残債を全額返済できなければ、家を失ったうえに返済だけが残ることになります。 実際にAさん夫妻は2億円に近い金額を返済期間35年、変動金利0.3%で借りました。毎月返済額は約50万円(ボーナス返済なし)です。夫婦のどちらかがリストラにあえば、たちまち返済に窮します。リストラされないまでも、会社の業績不振などで年収が下がることがあれば、一気に生活は苦しくなるに決まっています。 さらに、Aさん夫妻のように変動金利で住宅ローンを借りている場合には、金利の上昇リスクも負います。変動金利型は固定金利型よりも金利が低いので、当初の毎月の返済額を抑えることができます。そのため多くの人が変動金利型を利用してしまいます。なかには「金利が上がったら、固定金利型に借り換えをすればいい」と考えている人もいるでしょうが、そう思ったときには、すでに固定金利型の金利はさらに上昇しており、借り換えが不可能、あるいは借り換えができても返済額が大幅に上昇してしまう可能性が高いです。いずれにしても、家計を圧迫することになります。Aさん夫妻がタワマンの購入を考えた時点でも、将来的に金利が上昇することは目に見えていたはずです。 もちろん、Aさん夫妻も住宅ローンが返済不能になるリスクもある程度は理解していました。しかし、不動産会社の営業担当者から言われた「高層階なら将来高値で売れるはず」という言葉を信じ、「返済が厳しくなれば、売ればいいさ」と安易に考えてしまったのでしょう。