平昌五輪は成功だったのか?
17日間に及ぶ平昌五輪が終わった。氷点下で2時間に渡って行われた閉会式は韓国の伝統文化とKポップ文化が融合され、そして「次代への波」という未来を示すメッセージ性のあるものだった。 英国のガーディアン紙は、「衣装、花火、次の五輪開催地北京への五輪旗の引き渡し……冬から春への季節の移り変わりをテーマに2時間のショーは素晴らしいハイライトをいくつか見せてくれた」と評価。 Kポップバンドの「EXO」が、閉会式における話題で世界中のソーシャルメディアを独占したことや、トンガのノルディックスキー距離男子のピタ・タウファトファが開会式に続き再びオイルを塗って上半身裸の衣装で登場したことを伝え、イバンカ・トランプが米国を代表して閉会式に出席、北朝鮮代表の近くに席をとったことを「不思議な外交的な席位置」と皮肉った。 日本選手団は、冬季五輪最多となる13個のメダルを獲得した。大会組織委員会によると目標だった106万8000枚を上回る約107万枚のチケットを売り上げたという。“隣国”で行われた五輪は成功だったのだろうか。 米国のNBCスポーツは「終わった。選手に焦点が当たった控えめな五輪大会だった」と大会を総括した。 「寒く強風もあったが運命的だった。30年前の夏季のソウル五輪大会のように朝鮮半島における歴史において鍵となる一章だった」と伝えた。 米朝が緊張関係にある中で行われた今大会は開催直前になって南北が融和ムードを作り、女子アイスホッケーチームは合同チームを結成、開会式、閉会式で南北が統一旗を持って一緒に入場した。 北朝鮮は「美女応援団」を送りこみ、金正恩・委員長の妹・金与正氏が大会を訪ねた。 本来、スポーツと政治は切り離されるべきだが、平和の象徴として平昌五輪が両国の融和へ一定の役割を果たしたのではないか、という評価なのだろう。その一方で、北朝鮮のプロバガンダに五輪が利用されたとの声があることも忘れてはならない。 同紙が「人に焦点が当てられた」と評価したのは、2016年のリオ五輪や2014年のソチ冬季五輪では、競技施設の建設が開幕に間に合うのか、という問題や、大会中のインフラ、治安問題、ボランティアのレベルなどに、多くの問題が起き、大会運営に支障も生じたが、今大会では、その部分では、ほとんど大きな問題が表面化しなかったことを指している。 だが、寒さと強風を「運命」だけでは片付けられない面もあった。そもそものジャンプ施設の立地と構造的欠陥。また人工雪で固めたコースも選手のパフォーマンスを最大限に引き出す舞台だったとは言い難かった。 NBCは、総括記事で一切触れなかったが、フィギュアスケートやスノーボード競技の午前中開催、ジャンプやノルディック競技は逆に深夜に至ったこともアスリートファーストからは程遠いスケジュールだった。