伏見工業から校名変更でも…「信は力なり」 京都工学院ラグビー部、悲願の花園へ
■「スクールウォーズ」で有名になったが…
京都工学院は、今シーズン京都成章という大きな壁を越えるために、徹底してディフェンスの強化を行なってきた。 一方、アタックをリードするのは、正確なキックと鋭いタックルが持ち味のスタンドオフ・杉山祐太朗選手(2年)。かつて伏見工業が花園初優勝した時のキャプテン「ミスターラグビー」平尾誠二氏。杉山は2年生ながら「平尾2世」と呼ばれるほど高く評価されている。 杉山選手 「そう言われることは光栄なのでうれしいですけど、そこ(平尾誠二氏)のレベルを目指して、やっていかないといけないと思います。やっぱり一番大切なことはいつも通り、自分の強みを発揮して、しっかり落ち着いてプレーすることだと思うので。平尾さんの名に恥じないように」 100名を超えるラグビー部。試合に出られない部員達は、スタンドから全力で応援。野球部員も駆けつけメガホンを取り、勝利のため皆が一つになっている。 歴史ある町並みが続く京都・伏見。かつて伏見工業高校があった地に建つのは、学校統合校で新設された京都奏和高校。実は、今年3月まで伏見工業は定時制高校として存続していた。 しかし最後の伏見工業生が卒業したことで、その定時制も京都奏和高校に統合し、新たなスタートを切った。伏見工業時代のグラウンドは大規模な宅地開発の工事中。ラグビー部OBで元監督でもある京都奏和・高崎利明校長(62)が案内してくれた。 伏見工業が花園初優勝の時、スクラムハーフとして平尾誠二氏とハーフ団を組んでいた高崎校長。現在の京都奏和高校校長だ。 山口総監督の後継者として、伏見工業ラグビー部の監督を17年間務めた。選手そして監督として、伏見工業の全国優勝に貢献している。 高崎校長 「見ての通り校舎とか全部なくなってしまってるんですけども、今唯一このポールだけ一つ残していただいてるので。いつかこれも壊されてしまうんですけど、しばらくは置いていただいてるので、それはうれしいかなと思います。伏見工業高校の名前はこれでなくなってしまったし、土地もグラウンドもなくなってしまうので。スクールウォーズで有名になった学校ですけど、京都工学院はそういう学校ではないので。そういう意味では違う歴史を築いていくには、ちょうどいいタイミングというか、良かったかなとは思うので。伏見は伏見でいいものを残して、そのまま終わっていくっていうのが。そう自分では納得をしてるというところですかね」 9年前にラグビー部監督を後任に任せた高崎校長。現在は京都奏和高校校長としてこの思い出の地を守り続けている。