“火消し”でも炎上…IOCバッハ会長の「犠牲」発言問題が海外にも波及…「日本で非難の声が沸騰」
高まる中止世論とは裏腹に東京五輪が強行開催に突き進んでいる中、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が22日、国際ホッケー連盟のオンライン総会でのビデオメッセージで、「東京五輪を実現するために、我々はいくつかの犠牲を払わなければならない。選手は夢を間違いなく叶えることができる(The athletes definitely can make their Olympic dreams come true. We have to make some sacrifices to make this possible.)」と発言したことが国内外で大きな波紋を呼んだ。「犠牲を払う我々とは、いったい誰なのか」「日本国民が犠牲を払わねばならないのか」という批判でネットが炎上。IOC広報は24日に「日本国民にではなく、五輪関係者、五輪運動に向けた発言(Everyone in the Olympic community has to make sacrifices)」と説明して火消しに走ったが事態は収まらない。そもそもリーダーたる人間が重要な発言を主語も曖昧にビデオメッセージで出すことが間違っているのだ。 海外メディアもこのバッハ会長の「犠牲発言」を問題視した。 英ガーディアン紙は「東京五輪…IOCの『犠牲を払うべき』発言で日本に怒り」との見出しを取り、「日本で新型コロナウイルス(の感染が拡大している)状況があるにもかかわらず、IOCが東京五輪の開催を確かなものとするために『犠牲』が払われなければならないと主張したことで日本国民の反発と中止へのさらなる声が強くなった」と伝えた。 記事は「IOCのジョン・コーツ副会長が、『招致都市(東京)が新型コロナウイルスの緊急事態宣言下にあったとしても五輪は開催されるだろう』と語った後に日本で批判の声が湧き上がった」と、21日に行われた調整委員会後の記者会見でコーツ副会長が「感染対策を講じることで緊急事態宣言下であってもなくても安全安心な大会が開催できる」と発言しネットや識者から批判の声が高まったことも併せて紹介。 「ソーシャルメディアの利用者たちは、IOCのコーツ副会長とバッハ会長が今年の五輪開催を圧倒的に反対している日本国民の感情を無視していると非難した」と続けた。 そして「日本国民の『逆境に耐え抜く力』について言及したことで批判されたバッハ会長は、土曜日、国際ホッケー連盟の会議で『アスリートたちは必ず彼らの五輪の夢を叶えることができる。我々はそれを可能とするためにいくらかの犠牲を払わなければならない』と語った」と、今回のバッハ会長の問題発言を紹介した。 その上で同紙は、「バッハ会長が誰に犠牲を払うことを求めたのかははっきりしていない。だが、(日本の)多くの人々が、“彼は日本国民を念頭に置いていた”とみなした」との見解を示した。 この記事はIOCの広報が「誰に?」の問題について「日本国民ではない」ことを明らかにする前に書かれたものだが、IOCへの不信感は消えるものではないだろう。 米ニューヨークデイリーニューズ紙も、「新型コロナウイルスの感染者が急増する中で、東京五輪の関係者たちが『犠牲が払われなければならない』と言及」との見出しを取り、「この夏の東京五輪の関係者たちが、大会を行うために『犠牲が払われなければならない』と述べた後、(日本で)五輪反対(運動)が広がる中で(さらなる)批判を招いた」と伝えた。 記事は「IOCのバッハ会長とコーツ副会長は、週末に五輪大会は再び延期されることはないと宣言し、別々に問題発言を行った」と記し両者の問題発言を紹介した。 その上で「国内で新型コロナウイルスの感染者が急増し、さらに多くの都市で緊急事態が宣言される中で、日本の約80%の人々が現在五輪開催に反対している。パンデミックが始まってから日本では1万2000人以上の死者が伝えられており、成人人口のわずか約2%しかワクチン接種を終えていない」と、日本の世論とワクチン接種が進んでいない状況を説明。暗にこれらの発言を問題視した。