京都大の研究者が教えるアカデミックな「学童保育」 動物の標本に触れ、細胞を顕微鏡で観察
女性教職員や学生が出産・育児と学業・研究を両立させるために必要なのが、学内の保育施設です。最近は保育だけを目的とせず、大学の教員が講師となって小学生向けプログラムを開催するなど、大学が持つ教育資源を活用した保育施設が開設されています。 【写真】子ども向けの本が並ぶライブラリーの様子(写真=京都大学提供)
大学内の保育所の歴史は古く、1970年代前後には国公立大学や私立女子大学を中心に設立されていました。当時は保護者も運営に関わる共同保育が目立ちましたが、大学に男女共同参画室が発足するようになり、その取り組みの一つとして学内保育所を設置する大学が増えていきました。東京大学は2006年に男女共同参画室を発足させ、07年に医学部附属病院に保育園を開園、08年に全教職員・学生を対象とした学内保育園4園(本郷、白金、駒場、柏)を順次設置しました。 保育園の待機児童問題が社会的に深刻な課題になっていくなか、16年に内閣府が「企業主導型保育事業」を開始したことで、学内保育園開設の動きはさらに活発化し、現在では多くの大学に設置されています。 その後、待機児童は減少傾向にあるなか、浮かび上がってきたのが「小1の壁」問題です。学童保育は保育園に比べて預かり時間が短いことから、保護者が働き方を変えざるをえないケースもあります。 京都大学では、保育施設のニーズを把握するために全教職員・学生にアンケートしたところ、2000件以上の回答があり、「学内に小学生の保育環境をつくってほしい」「学会や研究会がある土日や学校の夏休みなどの長期休み期間に子どもを預けたい」という声が寄せられました。そこで21年に学内学童保育所の開設準備チームを発足し、23年12月に「学童保育所 京都大学キッズコミュニティ(KuSuKu〈クスク〉)」を開所しました。対象は京都大学に在籍する教職員と学生が保護者である小学1年生から6年生までの児童で、研究者らのニーズを踏まえて、土日祝日および小学校の長期休業期間に開所し、延長保育を含めると21時まで預けることができます。