京都大の研究者が教えるアカデミックな「学童保育」 動物の標本に触れ、細胞を顕微鏡で観察
大学の研究者が教えるプログラム
KuSuKuの特徴は、京都大学の研究者や学生、卒業生の企業関係者などが講師になって、保育所の子ども向けにアカデミックプログラムを実施するなど、京都大学が持つ資源を最大限に活用しているところにあるといえます。 開設準備を担当したダイバーシティ推進室の山下武史さんはこう話します。 「研究者が自身の研究を小学生にもわかりやすいようにレクチャーしたり、一緒に実験やものづくりをしたりして、学校ではなかなか体験できない、大学の研究をベースにしたアカデミックな体験を提供しています。例えば博物学のレクチャーでは動物の標本に触れたり、生物学では細胞を顕微鏡で観察したりするなど、プログラムを通じて小学生から大学の研究に触れ、科学の面白さや物事を深く探求する力を身につけてほしいという思いで企画しています」 参加した子どもの保護者からは「プログラムの内容を子どもが帰宅後にさらに調べていた」「学んだことを親に話してくれて、親子の会話が増えた」といった声が寄せられているそうです。 開所している日は原則毎日、京都大学が企画するアカデミックプログラムもしくは、運営受託事業者が提供するものづくりやプログラミングなどの体験プログラムを実施しています。24年の夏休みも、京大の研究者による「南極アデリーペンギンの子育て」「フラクタル立体を作って、影で楽しもう」などの多彩なプログラムが用意されています。 自身の研究や講義に追われている研究者が、小学生向けのプログラムを提供することに難色を示すことはないのでしょうか。 「ダイバーシティ推進室で講師候補となる研究者を探し、講師の依頼をしますが、これまでほとんどの方に引き受けていただけています。プログラムを実施した研究者からは、小学生から今まで考えたこともないような質問をされることがあり、普段の研究者同士や大学生への講義とは違った刺激が得られる、と聞いています」