石川遼、史上7人目3勝以上へ「印象は当然すごくいい」米ツアーへの再挑戦決断の真意も明かす…日本シリーズJTカップ28日開幕
国内男子プロゴルフツアー今季最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップは28日から4日間、東京・稲城市の東京よみうりCC(7002ヤード、パー70)で行われる。3年連続15度目の出場となる2015、19年大会覇者の石川遼(33)=カシオ=が開幕を前に、スポーツ報知の単独インタビューに応じた。09年以来15年ぶり2度目の賞金王がかかる得意コースへの思いと、大会後に予選会に挑戦する米ツアーへの胸中を熱く語った。(聞き手・高木 恵) 史上7人目の大会3勝以上をかけ、石川が15度目の日本シリーズJTカップに挑む。 「やっぱりコースはきっと好きでしょうし、僕は、あのコースが」 今大会から6番パー5が改修された。グリーンを昨年より手前に新設し、22ヤード短い519ヤード。距離は短縮になるが、傾斜と起伏がきつい新グリーンは、左にはバンカー、右側にはグラスバンカーが待ち受ける。 「ちゃんと開幕までにチェックしたい。パー5が2つしかないので、そこでどうリズムをいい方に持っていくか。けっこうそこはキーになるかなと思う」 ツアー20勝の石川にとっても、日本シリーズJTカップは特別な大会の一つだ。 「すごく大きなタイトルだし、自分が勝つことができているっていうのもあって、印象は当然すごくいい。その1年間、上位でプレーした選手に対してのご褒美の大会でもあるので、楽しみでもある。あの舞台に立つということは、多くの選手にとっての目標」 来季米下部ツアーの2次予選会(12月3~6日、カリフォルニア州など)にエントリー。17年にシードを失った米ツアーへの再挑戦を決断したのは10月だった。 「向こうにまた挑戦したいっていう思いは常にあった。シードを落とした時の17年のゴルフっていうのは、自分が一番よく分かっている。あの時以上のものにならないと挑戦できないんじゃないかっていう自分もいた。日本に帰ってきて、米ツアーに対しての思いは、最初はネガティブだった。難しかったなって思ったし、自分ではやれることを全部やって尽くしてこれか、っていう感じがあったから」 日本シリーズJTカップを制するなど、3勝を重ねた19年。周囲には順風満帆に見えたシーズンを終えると、自問自答が続いた。 「最終戦の日本シリーズJTカップを勝った時のゴルフを今でも覚えている。もうベストを尽くしたなって。自分の持っているものを全部尽くせたなっていうのが19年。すごくいいゴルフができて3勝できたけど、正直これが当時の自分のベストだな、って思った。ベストを出せたわけだし、いいことでもあるんだけど、その裏に隠れている『俺はまだまだこんなんじゃない』って思いたい自分と『今年はいいパフォーマンスだったな』っていう自分がいて」 20年2月に米ツアーのメキシコ選手権(68位)、ホンダクラシック(予選落ち)にスポットで参戦したが、現実を突きつけられた。 「こてんぱんにやられたというか。通用しなかったなって思った時に、17年の時の気持ちも思い出した。チャレンジしたいけど、やっぱり抜本的にというか、根本を見直さなきゃいけないとその時に思った。自分1人で直せなかったスイングの部分を直せたら、もう1個上に行けるんじゃないかっていう思いがあった」 帰国後、田中剛氏をコーチに迎えた。田中氏がSNSで発信していたことに興味を持ち、自らコンタクトを取った。ドライバーショットで手元が浮くという、石川にとっての長年の課題は数か月で解消された。5年をかけスイングを固めながら、ゴルフ自体の再現性、根拠のあるスコアを追求してきた。 「僕の中ではアメリカへの思いっていうのは、自分のスイングの悩みっていうところと切っても切り離せない。だからこそ、コーチと今まで二人三脚でやってこられている」 プレーヤーズチャンピオンシップ・サトウ食品、三井住友VISA太平洋マスターズで今季2勝を挙げた。09年以来15年ぶりの賞金王へ、約2648万円差の6位で東京よみうりCCに乗り込む。 「(金谷)拓実も(平田)憲聖も毎試合のように上位にいる2人。でも多くの選手にチャンスはある」 6人が賞金王の可能性を残すホットな最終戦。前週のカシオワールドオープンは4位に終わり「来週やってやろうという気持ち」と心を燃やした。3度目の大会制覇と逆転キングを勝ち取り、予選会へ海を渡る。 ◆6番(519ヤード、パー5) 昨年の平均スコアは「4.583」で、難度は18ホール中17位のチャンスホールだった。今回、541ヤードから22ヤード短縮。多くの選手が第2打で狙える距離だが、3パットもあり得るグリーンの傾斜と、その周辺のワナが鍵を握りそうだ。日本シリーズのコース改修は12年ぶり。 ◆賞金王決定の条件 次戦に可能性が残されたのは首位の平田から6位の石川まで。今平、岩田、木下、石川は優勝が絶対条件。日本シリーズの優勝賞金は4000万円、2位は1500万円のため、平田と2500万円差以内の木下までは、優勝すれば無条件で戴冠が決まる。石川は平田が3位以下の場合のみ賞金王になる。仮に平田が30位に終わった場合、金谷が逆転するには2人までの8位タイ以上の成績が必須となる。
報知新聞社