OA枠に山本昌邦NTD「日本サッカーの成長の大事な節目」、欧州クラブで主軸選手が増えた嬉しい悩み「選手に背負わせるのは避けたい」
30日、アメリカ遠征に臨むU-23日本代表メンバー25名が発表された。 パリ・オリンピックの出場権を無事に確保したU-23日本代表。7月に開幕する大会を前に、最後の活動となる今回のアメリカ遠征では、同じくオリンピックに出場するU-23アメリカ代表と対戦する。 今回の活動はインターナショナル・マッチウィーク(IW)に実施されることもあり、招集に強制力がある一方で、本大会に出場できない選手を招集しても仕方がない状況。海外クラブで主軸を張る選手が多いだけに、かなり交渉が複雑化している。 当初はこの活動からオーバーエイジ(OA)の選手も招集する可能性があったとされた中、実際のメンバーには不在。ナショナルチーム・ダイレクター(NTD)の山本昌邦氏は、この状況について説明した。 「オーバーエージの選手たちについては、長い時間かけて丁寧に進めています。一方で、たくさんのハードルが実はありまして、個人個人のオリンピックに出場したいという意志、所属クラブの了承を得なければいけない。また、我々の成長の証だと思いますが、移籍する可能性ということでは、移籍先との了承も取り付けなければいけないです」 「A代表の選手たちは今回移籍の可能性が高い選手も多いです。そういう意味で、移籍先が決まったとして、そこから交渉に入っていく形になるので、そのハードルはかなり難しさを極めています。この選手という確約というか、実際にパリ五輪に出場できるということに至っていないというのが各選手にあります。極めて難しい調整になると思います」 「我々は扉を閉ざしているわけではないので、メンバー登録の期限までに鋭意進めていきたいと思っています。また、監督以下、コーチングスタッフが必要とする選手であり、選手の意志、クラブとの調整は本当に複雑なものがあると思います」 「A代表にいる選手たちが中心になりますが、大きなクラブで本当に必要とされているということの違うステージに辿り着いています。選手によっては、所属クラブの中で、彼らが本当に必要とされている中で、その中の交渉、所属クラブの監督が決まっていないとか、そういうような状況もあって、なかなか動きがスムーズにいかないということもあります。かなり難しい交渉になっていくだろうなということは想像しています」 クラブにとって、オリンピックに選手を派遣する義務はない。新シーズン開幕前のプレシーズン中の開催ということもあり、チームを考えれば主軸選手ほど派遣はしたくないのは当然だ。 実際にレアル・ソシエダはMF久保建英に対して派遣を拒否。パリ・オリンピック世代だが招集はされず。また、この世代を牽引してきたMF鈴木唯人(ブレンビー)も移籍の噂もあり、こちらも招集されていない。 力をつければつけるほど、オリンピック出場からは遠ざかる可能性があり、男子サッカーにおいては立ち位置も微妙な大会になっているオリンピック。戦力的にも選手の疲労度合いを見ても、招集はかなり困難になる。 山本NTDは「事前に登録したメンバーがあります。ここで具体的な名前は発表できませんが、その枠の中から選ぶことになるので、精査しております」とし、OAとして呼ぶ選手のピックアップはラージグループとしてはしている状況。ただ、選手は自身のキャリアを考え、移籍との天秤にかける必要があり、その判断をあまり負わせたくないと語った。 「OAの選手たちの移籍の可能性というところで、彼らと話す中で、(出たい)気持ちはあるけれども、移籍先のクラブがどこになるかが決まらない中で、五輪のチームに迷惑をかけたくないという思いもありますし、デリケートな話。行きますよと本人が言った。突然大きな移籍が決まった。五輪の時期にトレーニングに参加していなければポジションがなくなるといるというリスクもあります」 「五輪経由でワールドカップに繋がっていく。W杯の頂点から逆算して、この五輪の成長は欠かせないと思いますが、難しい選択で選手たちにあまりにも背負わせるというのは、我々としては避けたいというのもあります」 「本当に、日本サッカーの成長の大事な節目なのかなと思っています。この経験は先々には生かしたいと思います」 若い選手が育たなければ、A代表の強化には繋がらない。ただ、かつてのように五輪が全てではなく、U-23世代でもA代表としてプレーする選手はたくさんおり、世界を見渡せば主軸になっている選手も多い。 日本サッカーが1つ上のステップに上がることを考えると、OAという枠の考え方も今までとは大きく変わるべきタイミングなのかもしれない。
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